中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『ケン・ブランチャード リーダーシップ論 [完全版] -より高い成果をいかにしてあげるか』
ケン・ブランチャード、ケン・ブランチャード・カンパニー 著 / 田辺 希久子、村田 綾子 訳 / ダイヤモンド社 / 2,940円(税込) / 472ページ

 「ケン・ブランチャード氏の新しい書籍が出た!」と喜んで手に取ってみると、2007年に出版された『Leading At A Higher Level』の日本語訳であった。「なぜ6年経った今?」「なぜ6年もかかる?」という疑問も湧くが、良書が日本語で提供されるのは歓迎すべきことである。

 本書に紹介されている「リーダーシップの新しい定義」とは、「より偉大な善のために、人々と組織の力と可能性を引き出すこと」とある。そして、ブランチャード氏の長年にわたる経験から、より高いリーダーシップが「当たり前」のこととして実践されている組織は以下の4つの点において優れているという。(1)正しい目標、正しいビジョンに照準を合わせること、(2)顧客を正しく扱うこと、(3)従業員に正しく向き合うこと、(4)正しい種類のリーダーシップを実践していること。本書ではこの4つを掘り下げつつ、ハイパフォーマンス組織の要件、状況対応型リーダーシップII、1分間マネジャー、サーバントリーダーシップなど、ブランチャード氏の代表的な理論についての考察も詳しい。

 ブランチャード氏の長年の研究と実績がコンパクトに詰まったダイジェスト版。状況対応型リーダーシップIIやサーバントリーダーシップなどは、あまりに有名。それゆえに、断片的な理解であったり、誰かの解釈を経たものでの理解だったりしないだろうか。原典を読み、リーダーシップの教科書としたい1冊である。本書を読みながら、今年もASTDのカンファレンスで、いつもユーモアたっぷりのブランチャード氏の講演を聴くのがさらに楽しみになった。

関連図書

『ザ・リーダーシップ-チームの力を最大限に引き出す秘密』
ケン・ブランチャード、マーク・ミラー 著 / 田辺 希久子 訳 / ダイヤモンド社 / 1,500円(税込) / 157ページ