監修:吉岡太郎
株式会社エイチ・アール・ディー研究所 取締役 

 日経ビジネスセミナー「人材開発のプロ養成講座2013年」のテーマは、組織を元気にするマジカルセミナーと題し、現場主導/階層別研修を起点にした、様々な組織活性化のアプローチを取り上げます。それに先立ち、講座内でご紹介する事例の一部をご紹介していきます。

 第1回は、「小さな役場の大きな挑戦」にご登壇いただく埼玉県宮代町の栗原聡氏に、3万人の住民参加のワールドカフェで作る新しいまちづくりについてお伺いしました。「全員参加」で積極的な関わり促す取り組みについてご紹介します。インタビューおよび執筆は、ワールドカフェ コミュニティ ジャパン共同代表の大川恒氏にお願いしました。

「関心」「発信」「参画」を促す

大川:本日はお忙しいところありがとうございます。このような民間の企業向けの催しに地方自治体の方がいらっしゃるというのはなかなかないので、少し驚いています。まずは、宮代町の紹介からお願いできますか。埼玉県は広いですが、その東北部にあたりますね。

栗原:埼玉県の中のどこというより、「東武スカイツリーライン」の終着駅というのが分かりやすいですね。「東武動物公園」のある町です。大手町駅へも、霞ヶ関駅へも地下鉄直通で一本。だいたい1時間くらいの場所に位置します。面積15.95平方キロメートル。東京でいうと渋谷区や中野区よりもちょっと大きいくらいの広さに約3万3000人が暮らしています。環境もよく、それでいて東京からそれほど遠くなく、通勤にも便利ですから、住むには最適な町ですよ。

大川:今回、「組織活性化」がテーマです。町役場の職員のみなさんの「活性化」とは違いますね。

栗原:宮代町の住民の皆さん全員と考えてくださってよろしいかと思います。つまり、地域づくり、まちづくりです。

大川:約3万3000人というと、日本でも有数のメーカーの従業員数と同じですが。

栗原:平成の大合併で、多くの町が「市」になってしまいました。地方自治体としてはコンパクトですが、それでも3万3000人というとやはり大きい数ですね。意見を集約し、共有し、自分自身のこととして動き出すためには、工夫が必要です。

大川:今回のテーマである「活性化」というと、具体的にはどんな意味合いになりますか?

栗原:はい。今日、メインでお話しするのは町の長期ビジョンである「第4次宮代町総合計画」策定の時のことになります。ただ、そのようなまちづくりのタイミングに関わらず、常に住民の皆さん全員が自分の住む町に関心を持ち、「こうだったらいいのに」を発信し、町をよりよいものにしていく活動に積極的に参画していっていただくこと、ではないかと思います。

大川:なるほど。「関心」「発信」「参画」ですね。それはどんな組織でも共通な気がします。ただ、どんな組織でも「全員が」というのが難しい。

大川 恒氏

栗原:ええ、特に、住民の皆さんから見ると、役場が決め「別な誰か」がやるので、あえて自分がやらなくても自分たちは決められたことを守ればよいだけの立場、などということになりやすいですから。

大川:そうですか。

ワールドカフェ コミュニティ ジャパン / 株式会社HRT / マネジメントフューチャーセンター
大川 恒(おおかわ・こう)
共同代表 / 代表 / 共同代表
1961年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。シカゴ大学経営大学院でMBAを取得。国内独立系コンサルティングファーム、日系人材開発研修会社、米系人材開発機関で、企業理念の構築、組織変革に関するコンサルティング業務、さらには、リーダーシップスキル(ファシリテーション、チームビルディングなど)の研修実施とプログラム開発など様々な経験を積む。現在、以下のようなワークショップ、セミナーを組み込んだ以下のような共創型コンサルティングを展開している。「ワールドカフェ・ファシリテーター養成講座」「AIによるビジョン構築ワークショップ」「OSTファシリテーター養成講座」「学習する組織とU理論セミナー」「セルフマスタリー・ワークショップ」 「フューチャーセンター・ファシリテーター養成講座」 「システムシンキング・セミナー」
◆ダイアログ、ホールシステム・アプローチ(AI、OST、ワールド・カフェ、フューチャーサーチ)、システムシンキングを使った組織開発コンサルティング
◆学習する組織構築のための組織変革コンサルティング
共著に『ワールド・カフェをやろう』『ホールシステム・アプローチ』(日本経済新聞出版社)『俊敏な組織を創る10のステップ』(ビジネス社)、などがある。