栗原:町としては住民の皆さんの意見を行政運営に取り入れるためにいろいろな工夫を重ねてきました。その一つとして、審議会の委員の一定枠を住民から公募することを義務付けました。ただ、何年かすると、応募してくる人が固定化してしまうという弊害がでてきました。また、審議会の委員全員を公募した住民にしたこともあります。その際は、皆さんが「意見を主張したい」という雰囲気にはなるのですが、自分たちで「意見をとりまとめよう」という方向にベクトルが向かずに、とても苦労しました。

大川:住民からの意見集約というと、最近だと公共工事がらみのものが取り上げられますね。でも、たいていテレビでは、住民サイドの視点での番組づくりになってますけれど…。

魅力ある街作りで、流出を抑え流入を増やす

栗原:でも、それを恐れるあまり、市民参加の場が形式的に意見を聞く場になってはいけない、という思いを持っています。表面的なことをやっても、何も前に進みませんからね。それでは参加した住民にもストレスがたまってしまい、逆効果です。

大川:そちらは時々、問題になっていますね。アリバイづくりのためじゃないか、と。でも、意外に企業でもよくある風景かもしれません。最悪な会議の一つが、収拾がつかなくなって何も得るものがない会議。そして次点が、事前の根回し勝負で、皆が集まるのは「そこでみんなで決めました」という形式的な場として用意される会議。企業で働く人も、自分たちが本当の意味で「参画」できないとモチベーションが下がってしまうものです。こう考えていくと、どうも共通点はたくさんありそうですね。

栗原:ええ。

大川:さて、その「活性化」の狙い、というとどんなところにあるのでしょうか?

栗原:町としての戦略と言いますか…。これはほとんどの自治体で課題とされていると思いますが、やはり「定住促進」なんです。今、住んでいる住民に満足を感じてもらい、流出を抑える。また、今は住んでいない人、つまり外へ向けて町の魅力を発信し、流入を増やす。町の人口はここ20年、ほぼ日本の人口の増減と比例していて、微減なんです。そこで、暮らしやすい魅力ある街作りをすることによって、結果的に人口を増やしていけるのではないかと。

大川:なるほど。従業員満足度を上げて離職率を減らす、働きがいを感じてもらって顧客満足度を上げる、という企業の戦略にも似ています。

栗原:ここで問題になるのが、「誰にとって暮らしやすいか」なんです。町にはお年寄りもいれば、赤ちゃんがいる若い世帯もいる。子供もいれば、働くお父さんもいる。実は、この「第4次宮代町総合計画」策定の前のプロジェクトで行政改革関係のものがあり、ここでも住民の皆さんから意見を聞こうということで公募をしたんです。ただ、毎週のように会議をやって、という大掛かりなものだったためか、それに参加できる、参加しよう、という人の属性が偏ってしまったんです。割合に時間に融通が利く、という人は限られていますからね。

大川:定年退職後の方とか。

栗原:そう。特に、男性が多かったですね。もちろん、その皆さんの意見はとても貴重です。でも、その方たちだけでは、他の多くの層の人たちの意見は分からないし、代弁することもできない。

大川:だから、「全員参加」なんですね。

栗原:もちろん、本当に3万人全員の意見を聞くことは難しい。その時に大川先生に教えていただいたのが「マイクロコズム」という考え方です。

大川:あるグループが全体の縮図になっている。企業でいえば、すべての利害関係者が集まっている集団、ということですね。