栗原:町のことでいえば、できるだけ町の人口ピラミッドの構成と同じような構成のメンバーを集めたらよい、ということになりました。その考え方からすると、今までは若い方が圧倒的に少なかった。また、住民の中には「公募」などがあると積極的に参加をしてくださる方もいますが、なかなか自分から手を挙げて、というのに慣れていない方もいる。でも、そういう人たちだって、不満を感じていることや、「こうしたい」と考えていることがあるはずなんです。

大川:「サイレンスマジョリティー」の意見にも耳を傾けたい…。

「宮代方式」で人口ピラミッドと同じ構成に

栗原:そこで、広報誌などで「公募」をして参加を待つのではなく、「無作為抽出」で“あなたが選ばれました”という形でダイレクトメールを送るという形にしたのです。

大川:不安はありませんでしたか。企業などでは「無作為」にすると、なんとなく“都合が悪い”人が交じってしまうのではないか、という懸念から「作為」的に人を選ぶ、ということがよくありますが。

栗原:いえ。企画する側にとって都合のいい人だけを集めても、それはそれで、何のためにやっているのか、と話が元に戻ってしまいます。それは覚悟の上です。この無作為に抽出するという原則が、参加する方と主催者の信頼関係を作っていますから。

大川:“選ばれた”人は、強制参加なのですか?

栗原:裁判員制度だとそれに近いですが、町のものはダイレクトメールを受け取った人が自由意志で改めて参加を申し込む、というスタイルです。

大川:公募と同じで、やはり参加表明が必要なのですね。

栗原:広報誌などで公募するのも同じ自由意志ですが、広報誌などではそもそも目にとまらない、あるいは自分とは関係ないと思われてしまう可能性がある。それがダイレクトメールだと、少なくとも「自分のことだ」と思ってもらってからの判断になります。だいぶ違いますよ。

大川:ちょっと待ってください。「無作為」で、結局「自由意志」だと、人口ピラミッドと同じ構成にはなかなかならないのでは。

栗原:正確に言うと、年代ごとに参加する率が違うので、抽出は「無作為」ですが、年代ごとにダイレクトメールをお送りする数を変えています。実際、若い方には年配の方に比べて、2倍くらいのダイレクトメールをお送りしています。

大川:なるほど。「宮代方式」の人の集め方ですね。

栗原:次に問題になるのは、集めた人からどのように意見をいただくのか、という点です。地方公共団体からのそういう「住民からの意見を聞く場」というのは、役所のほうから資料配り、なんらかの説明をして、「質問や意見はありませんか?」となる。

大川:意見、言いにくいですよね。

栗原:そうですよね。そこで発言するのはいわゆる「声の大きい人」になってしまう。そうすると、また他の人は尻込みしてしまって…。

大川:悪循環。

栗原:そんなタイミングで出会った、「無理やり結論を出さない」「相手の意見を尊重する」「アイデアを否定しない」「短時間にたくさんの人と話し合う」「一度に何人でも参加できる」という“ワールドカフェ”に衝撃を受けたんです。

 前編はここまでです。実際の具体的な取り組みは2月28日、「人材開発のプロ養成講座2013」の会場にて詳しくお話しいただく予定です。

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