中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『リーダーシップ開発の基本~効果的なリーダー育成プログラムを作る~(ASTDグローバルベーシックシリーズ)』
『リーダーシップ開発の基本~効果的なリーダー育成プログラムを作る~(ASTDグローバルベーシックシリーズ)』
カレン・ローソン 著 / 永禮 弘之 監修 / 長尾 朋子 訳 / ヒューマンバリュー / 2,520円(税込) / 156ページ

 ASTD(American Society for Training and Development)刊行のグローバルベーシックシリーズ24冊のうちの1冊。日本語訳では同シリーズ4冊目で、英語版は2008年の出版である。

 組織の将来を担うリーダーを育成し、その供給が途切れないようにする。つまり、リーダーシップ・パイプラインをいかに充実させるかを包括的かつ体系的に紹介している。本書によると、リーダー人材のニーズの高まりに対し、組織が対応不足であるという。その要因は、リーダーを育成しようという意識の欠如ではなく、リーダーシップ開発の手法に対する理解不足の方が大きいと指摘する。本書は、メンバーを選抜してシリーズ化した研修を受講させるなどその場限りの簡略的なアプローチではなく、戦略的な投資として、構造化された多面的なプログラムの全体像を描く一助となる。

 リーダーシップ開発プログラム構築の第一歩は、組織固有のリーダーシップ・コンピテンシーを定めること、とある。つまり、組織としてどのようなリーダーを求めるかを明文化するということである。当たり前のことなのだが、実際はここが不明確であったり、明文化されてはいても実態が伴わない組織があまりに多いと感じる。アセスメント、360度、フィードバック、コーチング、メンタリング、アクションラーニング、外部リソースの活用、効果測定、とグローバルベーシックらしく、グローバルスタンダードとなっている言葉とその解説が並ぶ。

 4月から新年度を迎えるにあたり、選抜人材育成、サクセッションプランなどをスタートさせるべく計画中の企業も多いかと思う。本来の目的と達成すべきゴールを見失わないためにもガイドとして活用していただきたい一冊である。