大川:住民の皆さんのワークショップだけでなく、町役場の職員の皆さん全員でもワールドカフェを実施されていますよね。

栗原:はい。「第4次宮代町総合計画」の策定だけを考えれば、役場内のプロジェクトメンバーで意見をまとめて計画の素案づくりをする方が、スピーディーで話をまとめやすいかもしれません。しかし、いざ、詳細の計画立案や実行、という段階は、結局、職員全員が何らかの形で関わってくる。計画の素案までできても、そこから合意、あるいは決まったことを説明、ということを改めてやらなければいけないのは目に見えていました。それなら、もう始めから全員を巻き込んでしまえ、と。

大川:ここでも「全員参加」なのですね。密室で決めるのではなく、すべてオープンに。そう言えば、町役場も壁がなくてオープンですよね。さて、それでは、ワールドカフェの実際の様子を教えていただけますか?

栗原:様子?ですか…。まずは告知のところからお話を始めないといけませんね。

対話が始まる前の準備がとにかく重要

大川:そうでした。その部分からずいぶん時間をかけられたのですよね。

栗原:はい。大川先生のおかげで(笑)。まず、ダイレクトメールを受け取られた住民の皆さんはとにかく怪訝に思うだろうな、と考えました。「この案内は何だろう?」「なぜ、自分のところに来るのだろう?」と。だいたいにおいて、役所のほうから住民の皆さんに何か通知がいく時は、「何か手続きをしてください」とか「〇〇を忘れてませんか」とか、面倒なことかな、という印象を持たれていますから。

大川:まず、案内を受け取った方の気持ちになって考える、というのがワールドカフェの「ホスト」側の基本です。

栗原:それで、丁寧な説明文をつけました。ただ、最初の案内文はアンケートも含め、A4両面で3枚にもなってしまって…。回を重ねるごとに住民の方の気持ちになるツボというか、そういうものも押さえられてきましたので、最近はシンプルにA4両面1枚ですんでいますが。

大川:いずれにしても、「面倒なこと」ではなく「何か楽しいこと」という期待でいらしていただきたいですね。

栗原:ホームページや広報誌などで、過去のワールドカフェの様子を写真なども載せながら紹介しているので、ありがたいことに最近は、だいぶ住民の皆さんも期待感を持っていただいているようです。そして、もちろん、その期待を裏切らないよう、また本当にリラックスしてお話をしていただけるよう、場づくりの検討も十分しています。

大川:宮代町の場合は、町の中心的な場としてコミュニティセンター「進修館」が住民の皆さんに定着していたので、やりやすい面もあったのではないですか?

栗原:ええ。ただ「進修館」の大きな空間がとれる場所は、いわば講堂で、広いけれど殺風景でした。それで、ワールドカフェの基本セットであるテーブルクロスを敷くだけでなく、観葉植物も何箇所か配置して、「カフェ」としての空間を演出しました。

大川:住民の皆さんの反応はどうでしたか?

栗原:「わあっ」と声が上がる、というほどではありませんでしたが、「あれっ? 今日はなんだか様子が違うぞ」という感覚は持っていただけたと思います。また、対話が始まる前に、この結果が「そのまま」総合計画にストレートに反映されるのではなく、すべての意見を取りまとめた上で、大学教授や専門家からなる「総合計画審議会」の基礎資料になるということ、ホームページや広報誌で広く公表することをお知らせしました。ただ単に「皆さんの意見を計画に反映させます」という紋切り型の説明だけでは、「そうは言っても、本当はどうかな」という気持ちが残ってしまうかもしれないと考えたので、ちゃんと正直にお知らせしたいと思ったのです。

大川:参加者の募集の仕方、案内の文章、場づくり、そして始まる前の説明と。対話が始まる前の準備がとても念入りですよね。

栗原:はい。「準備をしっかりして、対話が始まる時には、もう成功のイメージしかないくらいにしておくこと」という大川先生の教えもありましたからね。