リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

 無事起業を果たし、事業も軌道に乗ってきた。しかし事業を進めていくにつれて、経営上の課題は難易度が上がっていく一方。そんな時に思わぬ失敗を起こし、意気消沈。そのような経験をした、あるいはこれからするかもしれない起業家は少なくないでしょう。

よくある失敗の原因

 ベンチャーが失敗する原因に関しては、さまざまなメディアや学者が分析を試みています。その内容を集約してみると、失敗のパターンは大きく次の3つに分類できるようです。

「市場規模や成長性を見誤った事業拡大」
「人材の確保・育成が伴わない組織拡大」
「資金計画を超えた過剰投資」

 そしてこれらは、すべて経営者(起業家)の増長や傲慢による“判断ミス”が多いということです。

 まだ社員数が10~20数人程度の規模の会社なら、経営が順調なうちは利益体質も良く、いろいろなことがスムーズに進みます。しかし、経営環境が少しでも悪化すると、会社への影響は大きく、資金繰りの問題などが発生し、いきなり苦しくなります。ですから、売上が上がって軌道に乗ってきたからといって、すぐに事業拡大をしたり人材の増加をしたり、固定費が増大するような投資を行ったりしてはいけません。

 このような失敗は、事業が順調に回っている時に起こしてしまいがちです。そのような時こそ経営者は冷静に、客観的に経営に取り組まなければなりません。

 経営の世界では、不確実な未来に向けての意思決定をしなくてはいけません。この意思決定は、結果が出れば“凄腕”と褒め称えられます。しかし、逆に結果が伴わない場合、容赦ない非難を浴びる、という非常にシビアな側面を持っています。事業経営は、常に移り変わっている生ものです。決して過去の分析だけでは語りつくせません。しかしその一方で、過去の事例から学ぶことが多いのも事実。起業家自身は、分析したもしくはされた情報を基点に、将来に向かってどのような心構えを持ち、行動を取るのか、考える必要があります。