「タレントマネジメント」「タレントマネジメントシステム」とは何か?

 では、そもそも「タレントマネジメント」とは何を指すのでしょうか。

 インターネットの検索エンジンを使って調べると、いろいろな出自のサイトがリストアップされてきます。内容は同じようなものもあり、少し違った角度からアプローチするものもあり、日本における「タレントマネジメント」の定義がひとつに固まっていないことがわかります。

 「タレントマネジメント」という概念は2000年頃からアメリカで広がったと言われています。では、その“先進国”アメリカではどのような定義を使っているでしょうか。ASTD(American Society for Training & Development=米国人材開発機構)が、2008年以降の「タレントマネジメント」の定義づけを試みている“The New Face of Talent Management”(2009)というレポートを紐解いてみました。

 そこでは、タレントマネジメントという考え方が広がり始めた当初は、主に一部の上部層の人材を対象にしていたのに対して、2008年には企業全体の従業員のキャリア全般までも扱うものになってきたと指摘しています。そして、効果のある「タレントマネジメント」とは、

ビジネスが成功するために「適切な能力を持った人材を、適切なタイミングで適切なポジションにつけること」

としています。それをもう少し噛み砕いて定義すれば、

「ビジネスの目的に沿った統合的な人材確保、人材開発、人材活用・配置活動を通じて、望ましい文化や帰属意識、将来性、遂行能力を構築することで、人材を活かしていく組織的な取り組み」(日本訳:筆者)

となります。

 その具体的な活動として挙げられているのが、「採用」「キャリアプランニング」「評価」「後継者計画」「パフォーマンスマネジメント」「組織開発」「チームと個人の開発」「リテンション」。ただし、2000年から約8年の間にマネジメント対象が変化したように、具体的な方法論や施策レベルになると、時期や企業の特性によって内容が異なったり変化したりするものだという点にも触れられていました。

 こうした取り組みをサポートするために生まれ、発展してきたのが「タレントマネジメントシステム」と言えるでしょう。外国発のシステムは、当然、西欧仕様のマネジメントの方向性を全面的に反映していることはいうまでもありません。そして、多くのシステムが、具体的な活動や施策である「採用」「キャリアプランニング」「評価」「後継者計画」「パフォーマンスマネジメント」といった機能を揃え、各プロセスのサポートに強みを持っていると見ることができます。

 2012年に入って、グローバル大手IT企業がこうした「タレントマネジメントシステム」を専門的に手掛けていた企業を次々に買収しました。そうした企業を含め、海外ベンダーが日本に進出してきており、積極的なマーケティング・営業攻勢をかけています。これに呼応するように、日本の人事システムベンダーも「タレントマネジメント」の分野に注目し、対応し始めました。