奉仕するリーダー

 また、最近お会いした方に、在米大手自動車メーカーのアメリカ人トップの方がいらっしゃいます。この方とのお話でも、やはりリーダーとしての人間力が大切なのだな、と思わされました。この方は、栄えある“2011 Automotive News All-Stars”の一人に選ばれている方です。その方に、「ご自身のどのような貢献が表彰に至ったのか」を尋ねたところ、やはり松下幸之助さん同様、「チームのみんなに任せているからチーム全体の貢献によるものなのだ」という返答が返ってきました。

 さらに、チームを上手くまわして会社全体を成長させていくことのできるその方の力量に興味を持ち、どのようなリーダーシップ力を発揮しているのか、お尋ねしてみました。その返答がとても彼らしく、素晴らしかったので、ご紹介します。

「良き聴き手となり、チームが奉仕してくれるのを求めるのではなく、自身がチームに奉仕する姿勢が重要だと考えています。ですから、私はチームメンバーに対し、障害を取り除いてくれる存在であって障害を与える存在ではない。リソースを加えてくれる存在であってリソースを取り除く存在ではない。このように感じてもらいたいと思っています。同時に、彼らがモチベーションを保ちながらもチャレンジングだと思える要素を与えてあげることです。チームワーク全体としての士気を下げるものでは決してありません。さらに、常々、同社の従業者全員に、自社の理念について伝えています。社員たちは我が社のアンバサダーですから、我が社の理念を彼ら自身が誇りに思い、自分と共通する価値観として深く意識してもらうことが大切だからです」

 皆さんは「サーバント・リーダーシップ(servant leadership)」という概念をご存知でしょうか。アメリカで、ロバート・グリーンリーフ博士が提唱したものです。その定義によると、「相手に対し奉仕する人であり、奉仕を通じて、導きたいと言う気持ちになり、その後リーダーとして相手を導く役割を担う」人物がサーバント・リーダーとのことです。

 このようなリーダーシップスタイルは、「奉仕型」あるいは「ファシリテーティブ・リーダーシップ」とも呼ばれ、近年求められるリーダー像は従来の管理型から、このようなファシリテーティブな変革推進型に変わってきている、と言われています。 上記のアメリカ人トップはまさに、個々のメンバーを尊重し、自立を促し、チームの力を信じるといった強い思いを抱くファシリテーティブなリーダーを象徴してしています。加えて、実直さ、そして謙虚ながらも圧倒的な強さと誇りが感じられました。