中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『ストレングス・リーダーシップ-さあ、リーダーの才能に目覚めよう』
『ストレングス・リーダーシップ-さあ、リーダーの才能に目覚めよう』
トム・ラス、バリー・コンチー 著 / 田口 俊樹、加藤 万里子 訳 / 日本経済新聞出版社 / 1,890円(税込) / 261ページ

 アメリカの有名なリサーチ会社ギャラップが、膨大な時間をかけた調査と研究から開発したストレングス・ファインダー(強みを見つけるアセスメントツール)の解説本(原書は2008年に出版されている)。この本では強みを活かしてリーダーシップを発揮するという点にフォーカスしている。

 リーダーとそのフォロワーに対する調査結果から判明したという事実が以下の3つ。(1)最も有能なリーダーは常に強みに投資している。(2)最も有能なリーダーは周囲に適切な人材を配置し、チームの力を最大限に引き出す。(3)最も有能なリーダーはフォロワーたちの欲求を知っている。

 ストレングス・ファインダーには34の資質があり、その34の資質リーダーシップを4つの領域(戦略的思考力、人間関係構築力、影響力、実行力)に分類している。

  • 戦略的思考力:学習欲、原点思考、収集心、戦略性、着想、内省、分析思考、未来志向
  • 人間関係構築力:運命思考、共感性、個別化、親密性、成長促進、調和性、適応性、包含、ポジティブ
  • 影響力:活発性、競争性、コミュニケーション、最上志向、自我、自己確信、社交性、指令性
  • 実行力:アレンジ、回復志向、規律性、公平性、慎重さ、信念、責任感、達成欲、目標志向

 書籍にはアクセスコードがついていて、そのコードを使ってこのストレングス・ファインダーのアセスメントを受けられる。上記34のうち自分の強みトップ5が何かが示され、診断結果を基にこの解説書を読むと、自分のリーダーとしての強みがよく理解できるという仕組みになっている。フォロワーの4つの基本的欲求(信頼、思いやり、安定、希望)に対して、自分の強みとされた資質を活用してどうリーダーシップを発揮していけば良いかが詳しく解説されている。

 ギャラップの2007年の調査によると、「自分の強みを毎日活かしていますか?」という問いに対して、「はい」と答えた人はアメリカで32%、日本は15%であるという。別の観点からは、今年5月に開催されたASTDのカンファレンスでのデビッド・ロック氏(脳科学の専門家)の言葉が印象的であった。

「自分自身が自分の強みだと認識していることと、実際のその人の強みに、統計的相関性はないことがわかっている。だから、アセスメントツールや、他人からのフィードバックが必要なのだ」

 強みを活かすという観点では、ギャラップから独立後にマーカス・バッキンガム氏が開発し2011年に出版した『StandOut』もぜひ参考にしたい。こちらは人が果たす9つ役割の中から自分の強みである2つの役割が特定され、リーダーという役割だけではなく、他の仕事の場面においてもどう強みを活かしていくのかを学ぶことができる。

 いずれにしても、それぞれが自分自身の強みを客観的に知ること、その活かし方を学び実践すること、より活かすことができる仕事を見つける・増やすことなのだ、という一貫したメッセージである。

関連図書

『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう-あなたの5つの強みを見出し、活かす』
マーカス バッキンガム、ドナルド・O.クリフト 著 / 田口 俊樹 訳 / 日本経済新聞出版社 / 1,680円(税込) / 357ページ

『StandOut: The Groundbreaking New Strengths Assessment from the Leader of the Strengths Revolution』
Marcus Buckingham 著 / Thomas Nelson Inc; Har/Psc版 / 2,204円(税込) / 227ページ