株式会社ジェック マネジャー
嘉顧(ジャグ)企業管理諮詢(上海)有限公司 副総経理
薛 晴(せつ せい)

 6月、上海も東京も梅雨の最中に私は上海赴任になりました。上海の梅雨も蒸し暑いのですが、上海の熱気は波のように強く打ち寄せてきます。一方、東京の熱気は物静かでじわじわと人を包んでくるような感じです。

 この違いから、中国のある小説のタイトル「Half flame, Half seawater」を思い出しました。中国の持つ空気や中国の市場はまさに「flame」で、混雑し活気があって、時には落ち着きのなさを感じます。日本の持つ空気や日本の市場は「seawater」で、秩序があり静かで、時には物足りないと感じます。

 今回は、気温39度の高温が続く上海から、“熱い”中国研修市場の現状をお届けします。

中国の研修市場の現状

 中国における企業向けの研修市場は、新規産業といえるべきもので、その成長、拡大が非常に際立っています。ある調査によると、中国の企業向けの研修市場(語学、各種資格を除く)の規模は年間約4兆2000億円、日本の年間約8500億円に対し約5倍です。しかも近年、年12%の増加率で伸び続けています。

 この15年間、中国の経済発展と共に、研修会社が雨後の筍のように一気に現れ、増え続けています。現在、中国で登録されている研修会社は1万社を超えています。その9割は、個人が数名の講師を集めて起業した会社か、講師を抱えない営業担当者のみのマッチング会社です。市場規模は大きいものの、小規模の多様な企業が棲み分けていることも特徴の一つといえます。

 中国における研修会社は大枠で、次の4種類に分けられます。

 一つは欧米系のトレーニング会社。自社で独自商品を揃えており、当然研修費用も高めです。商品は欧米市場で展開している既成のトレーニングを中心としたものが多い。欧米での実績があり、マーケティング力も強く、さらに講師認証などの関連事業も持っているので、顧客企業に認知されやすいという特徴があります。メインターゲットは中国に進出した欧米の大手企業や中国の大手国営企業です。

 二つ目は台湾系の研修会社。基本的に、欧米の研修商品を中国の実情に合わせて手直しし、展開しています。同じ伝統の中華思想の背景を持ちながら、異なる政治、社会システム視点からの中国市場への鋭い分析は、中国の受講者にとって欧米のものより親近感があり、中国のものより新鮮味があります。また、台湾の講師の独特の中国語の訛りも、中国の受講者にとっては面白く、新鮮に感じるのです。この台湾の講師が、最初に中国の研修市場を切り開いたといっても過言ではありません。

 三番目は中国の大学が興した研修会社。中国の大学は9割以上が国立大学です。その学校の信頼性や、大学の先生という「資源」を活用することが大きな特徴です。また、大学の研修会社が、受講者に対して修了後に転職やキャリアアップに有利な「修了証明」を発行できることも大きな魅力の一つです。
 中国で「教育、研修会社」と名乗るには、中国の文部科学省で認証を受けなければなりません。しかし、外資系企業や中小企業には認証申請の資格がないので、「○○コンサルティング会社」という社名にする会社が多いのです。

 そして最後は、先に述べたさまざまな講師が個人で興した研修会社。講師のほとんどが、欧米の名門大学に留学し、世界でも有名な企業での就労経験や職歴を持つなど、華やかなバックグランドを備えていることが特徴。多数存在しているマッチング会社が、講師の経歴、背景、知名度を重視し、顧客に強くアピールしています。