株式会社ジェック マネジャー
嘉顧(ジャグ)企業管理諮詢(上海)有限公司 副総経理
薛 晴(せつ せい)

 今年5月、上海の地下鉄は開通20周年を迎えました。この20年間、上海の地下鉄の総距離はゼロから世界一の460kmになりましたが、開発はまだまだ続けています。

 初めて上海の地下鉄路線図を見たとき、色別で表記された1本の環状線と11本の放射線状に延びている路線の模様が、東京の地下鉄路線図と錯覚してしまいました。東京との大きな違いは、上海では路線の名前をできた順番に数字(1号線、2号線・・・)でつけていることです。その名前のつけ方は単純で少しさびしく感じますが、外国の方にとっては分かりやすくよいですね。私が東京に留学したとき、路線の名前を覚えるのに大変苦労しましたので…。

 私は毎日、上海で一番乗降客の多い「人民広場駅」を使っています。その朝夕の通勤ラッシュは想像を絶するものです!

 面白い風景もよく目にします。毎朝、改札口そばの決まった場所に、同じお年寄りが立ち、出てきた乗客から前の駅で無料で配られた新聞を黙々と集めています。無料のものなのにリサイクルに出せば、わずかなお金をもらえるのでしょう。塵も積もれば山になるのですね。

 さて、今回は中国に進出した日系企業の「人材獲得」の悩みについてお話しいたします。

人材獲得は困難

 中国の人材市場の特徴のひとつは、就活側の「入りたい企業がない」と採用側の「欲しい人がいない」というミスマッチの深刻化ということです。

 中国は人口が多く、当然労働力や人材の絶対数もかなりの数になります。そのため、毎年600万人を超える大学生が卒業しますが、その約3分の1の人が仕事を見つけられず、フリーターになっています。経済成長率8~9%という状況でも、大学生にとっては就職の超氷河期という不思議な現象です。

 一方、一般企業では良い学生を採用できない悩みを抱えています。近年、中国の大学生の就職先選好が変化しています。「中国英材ネット」の最新調査によると、就職先を選ぶ時、中国の国有企業を希望する大学生は24%、公共事業は14.8%、政府機関は14.6%、外資系企業は14.5%、民営企業は12.2%、その他は19.5%となっています。

 一昔前に高嶺の花だった、キャリアのステップアップができ、待遇のよい外資系企業の人気度は大きく落ちています。その代わりに、安定性のある福利厚生重視の国有企業や公務員の人気度が急上昇しています。

 こういう状況の中で、日系企業はさらに苦戦しています。Universum(スウェーデン系市場調査会社)の最新データによると、中国の大学生の人気就職先ランキングTOP50の中、日系企業はソニー1社だけです。