石井 りな
精神科専門医、産業医/フェミナス産業医事務所、(株)プロヘルス代表

 企業の人事・労務担当者(以下、人事担当者)の方を念頭に、精神科産業医の視点から、従業員のメンタルヘルス対策へのアドバイスをお伝えしている本コラム。第3回目は、第2回目に引き続き、休職の繰り返し・長期化を防ぐための対応について考えていきます。

 前回は、以下に示す休職者対応の5つのポイントのうち、最初の2つを取り上げました(http://www.nikkeibp.co.jp/article/hco/20130902/363521/)。今回は残る三つ、「職場復帰に関する適切な評価」「職場復帰支援」「復職後のフォローアップ」を順に取り上げていきます。

一直線には回復しない

 メンタル疾患が原因で休職に至った場合、体の病気とは異なる特徴的な経過をたどるので要注意です。初めに、うつ病の回復経過を大まかに示します。

 図1を一見しておわかりのように、うつ病は小さな波を描くように推移しながら病状が回復していく傾向があります。この点に注意し、「まだ回復途中なのではないか」「小幅な悪化が訪れても就労に耐え得るかどうか」をまず念頭に置く必要があります。

 「職場復帰に関する適切な評価」は、休職の繰り返しを防ぐために最も大切な点です。焦りや不安から復帰を申し出る従業員もいます。しかし、早すぎるタイミングでの職場復帰は、職務の負荷から病状の再燃を招きます。就労に耐えられなくなって再休職に追い込まれ、結果的に休職の長期化を招きかねません。

 本人の意向を尊重することは大切ですが、それだけでなく、専門家の意見や客観的な根拠を参考にしましょう。休職時は主治医からの休養を要する旨の診断書の提出と本人の了解があれば、必ずしも産業医面談は必要ありません。しかし、復職時は必ず、産業医との面談の機会を設けた方がよいでしょう。