人間の本質は権力を持ったときにわかる

竹内:人間の本質をどう知ることができるか。よく言われるのが、「逆境に立たせたときその真価が問われる」で、私も以前はそう考えていました。究極の修羅場の体験が大切で、その時にその人がどういう行動をとるかで、本質がわかると私も考えていました。

 ただ、最近少し考えが変わりました。自分の体験からわかったことは、「権力を持ったときに本当のその人物の本質がわかる」ということです。権力を持っているときと持っていないときで、がらっと変わる人がいます。実は私はそれで失敗しました。権力を持ったときに変わらない人を選ばなくてはなりません。いろいろな評価基準があるのかもしれませんが、最終的には人間の本質を見抜けるかどうかは本当に大切です。

安田:「人間は困難には耐えられるけれど、成功には耐えることはできない」と言った人がいます。実際にパワーを与えてみないとわからないところもありますね。多くの日本企業が子会社の社長や現地法人の社長を経験させているというのは、一つの有効なプロセスだと思います。一度小さな組織の社長を経験させる。一国一城の主を、しかも比較的若い時期に経験させてみる。ある意味修羅場でもあり、権力を持たされる立場にもなります。リーダーとして全ての行程を体験してみるのはいいことだと思います。日本の場合は一つに特化するというよりも、いろいろ体験させる傾向があります。その場その場でどのような実績をあげるかを見れるという意味でも、良いことかもしれません。

 アセスメントをして気づいたことは、日本企業の弱いコンピテンシーの一つが組織統率力だということです。事業部制、カンパニー制が強いがゆえに、事業部の部長としてはうまくいきますが、経営者の視点が欠如するのです。経営幹部の候補になる時期に、異業種を経験させたり、新興国など新しい市場を経験させたりするのが大事だと思います。ただ、それを阻んでいるのが、優秀な人間は手放したくないという、それぞれの事業部のエゴだったりします。