竹内:選ばれる30人というプールをつくることが大事なのだと思います。日本はどちらかというと一本釣りのようなとことろがあります。2週間プログラムを一緒にやってみると、この人はすごいという人がいます。英語はそれほどではないけれど説得力はすごい。最初は無口でたいしたことないと思っていたら、本質を語っているとなります。これは同僚であればわかります。

1年半~2年の移行期間、その前に3~5年の選抜期間

安田:人を選び、プログラムを作っていくことは大事です。ただ逆に、GEのウェルチの後継者としてのジェフリー・イメルト、ロバート・ナーデリ、ジェームズ・マクナリーの競争は、あまりにもオープンで公にし過ぎたのではないかという批判もあります。プログラムで育成し選抜するのは大事ですが、選ばれたことによって間違える人がいることも事実です。非常に控えめである必要はありますが、選抜育成プログラムはプロセスとしてはきちっとやっていかなくてはならない。実は、日本企業はそれをやっています。あまりにも公に選抜競争をやっていくことに対して、米国でも反省が出てきています。

竹内:IBMでは、1年半ごとに5~6回のグローバル・リーダシップ・プログラムが各国で行われますが、私も参加していました。最後の2~3回で、次はジニー・ロメッティだと中にいた人間でもないのにわかりました。案の定、彼女になりました。会議でどういう順番で話すかでもわかります。そういう見えないうちにシグナルを出すみたいなことは、無意識にやっているのかもしれません。

安田:次の後継者への移行をあからさまにでなく、まるで無意識にやっているかのようにやることは悪いことではないと言われています。ジニーは1年半くらい前に次のCEOとなることを言われ、それからの1年半を当時のCEOであったサム・パルミサノの仕事を間近に見る機会として与えられました。これはCEOになるための丁寧な準備期間でもあり、それを通じて、外部のステークホルダーも内部の人間も、ジニーを次のリーダーとして認めるのです。

竹内:そこでサムも実際に1年半に渡り自分の後継者を見ていられる。少し違うと思ったら、もう一度ゼロベースで考え直せます。それは非常に大事かもしれません。

安田:そうですね。1年半から2年位を移行期間、その前の3年から5年位のCEO選抜期間と位置付ける。

竹内:その間、隠し通せるかも大事ですね。

安田:ジニーは決して周囲に言わなかったと言われています。

竹内:少しでも言ってしまうと人事はなくなりますから。その辺の判断ができるからいいかもしれません。