安田:たしかに、自分が候補だとか、選ばれているということをマスコミに言ってしまったりするが人がいます。ジニーが偉かったことは、決して言わず、行動も変わらなかったことです。弊社から見て非常にうまくいったケースとして、アメックス、IBM、ゼロックス、ディズニーなども挙げられます。アメックスでは現在、CEO後継者への移行プロセスの最終段階として、後継者候補となった人物に対しCEOの役割を分割して継承するという戦略が実行されています。IBMがジニーに対して行ったような移行プロセスに入っていると言われています。ディズニーにおいても、マイケル・アイズナーという長期に渡る名経営者の後任として選ばれたロバート・アイガーは、最初は周囲から経験不足を心配されましたが、経験豊かな経営者をP&Gから会長から迎え共同体制をとることで、継承をうまく行った例だと言われています。

後継者選びに暫定期間を設けるのも一手

 日本企業でも、日立製作所などは前の社長が比較的短期で変わったときに、川村隆会長が1年間CEOに就任されています。彼のミッションの1つは後継者を選ぶことでした。中西宏明社長を選んで、1年位でバトンタッチをしました。日本の後継者計画としてはうまくいった例ではないかと思いますし、その後の日立の経営の方向性も明確になりました。

竹内:同じことがハーバード・ビジネス・スクールでも起こっています。ジェイ・ライトという責任者が学長になったとき、「自分は暫定的学長で、次の人を探すのが私の任務。探せたらバトンタッチするので、それまで時間を少しください」と言いました。キム・クラークは10年くらい学長をやりましたが、ジェイは4~5年しかやらなかったと思います。その後、今のニッティン・ノリアにバトンを渡し、「10年は最低やってよ」と言って辞めました。そういう暫定期間を設けるのも大事なのかもしれません。

安田:そうですね。一方で、暫定CEOがずっと残っている会社もあります。

竹内:業界のサイクルにもよりますが、教育業界などは長期的に考えるのでそのうちの2、3年は長くありません。ただ、シリコンバレーだと2、3年で事が大きく変化しますね。ですからそのあたりのコンテキストを読む必要はあると思います。