中村 文子
ダイナミックヒューマンキャピタル代表取締役

『人を動かせるマネジャーになれ!』
『人を動かせるマネジャーになれ!』
ブライアン・トレーシー 著 / 岩田 松雄 監訳 / 弓場 隆 訳 / かんき出版 / 1,575円(税込) / 253ページ

 原書のタイトルは「FULL ENGAGEMNT !」。

 「優秀なプレーヤーが必ずしも優秀なマネジャーになるとは限らない」 ―― よく言われることである。著者ブライアン・トレーシーも、最初は例外ではなかった。彼が営業部長になり30人以上の部下を持ったときの失敗談から話が展開されている。

 その経験から得た最大の教訓は、「人の能力を最大限に引き出すには、学歴や知識、経験よりも、感情的な影響を与える接し方や言動の方が重要だ」ということだったという。パレートの80対20の法則によると、20%の企業が利益、成長、シェアの80%を得ている。「それはなぜか?」 ―― 答えは簡単で、「優良な企業には有能なマネジャーがいるから」であり、そのマネジャーの成功のための2つのシンプルなルールというのがこれだ。

  1. あなたがよくなれば、あなたの人生もよくなる
  2. あなたがよくなれば、あなたの部下もよくなる

 つまり、部下を伸ばそうと思うのであれば、まずは自分が成長しろということであろう。

 とはいえ、啓発的な精神論ではなく、結果を出すマネジャーになるために何が必要か、それが具体的かつ実践的に説明されている。ビジネスの至上命題は顧客があなたと取り引して幸せになることであり、それは部下に対しても同じである。そのための黄金律として、「部下に微笑む」「部下に質問する」「部下の話を聞く」「部下に礼儀正しく接する」…など、シンプルだが本質をついた25項目が並ぶ。

 『部下に自己重要感を持たせる』『部下の恐怖心を取り除く』『部下の心の中に勝利の感覚をつくり出す』と章が続く。最後にはブライアン・トレーシーらしく、「有能なマネジャーに共通するこれらの資質のうち、一番大切なのは行動」と、とにかくその場ですぐに動くことである、スピード重視だ、という言葉で締めくくっている。「快適ゾーンに安住し、そこから出ようとしない」のでは生き残っていけない時代に、マネジメント育成、企業文化醸成に役立てたい一冊である。

関連リンク

『まずは、自信をつけてしまえ!』
ブライアン・トレーシー 著 / 門田 美鈴 訳 / 学研パブリッシング / 1,365円(税込) / 237ページ