細川:頭取になられてからの主要な戦略はなんでしょうか。

平岡:山口県にも有力な金融機関がいくつかありますが、いずれの金融機関もすべてのお客様をカバーすることはできません。ですから、私どもはお客様にどれだけお役に立てるかを大切にしなければいけないと思っています。中小企業がたくさんあり、そういうお客さまと一緒に活性化していくというのが我々の戦略です。どれだけお客さんの支持を得ていくか。そのために行員の教育には力を入れています。まだ道半ばですが。

お客様にどれだけ役に立てるか

細川:預金と貸出金の伸び率がともに全国一位と聞きました。その秘訣は何でしょうか。

平岡:1つには、もともと規模が小さいので、伸び率からすると高くなります。2つ目はシェアが低いのでやりようによっては伸ばしやすいこと。3つ目は貸出金の金利が低くて預金の金利が高いのです。この3つ目は他の銀行からすれば違うだろうという感じかもしれませんが、お客様には喜んでいただけるものなのでできているのです。一定の収益が出るような体質に持っていっています。

細川:言うのは簡単ですが、大変ですよね。

平岡:リスクもとっているつもりはありません。お客さんのことを知って、顔が見える商売をしているので、大都市とは異なります。田舎ですから情報がたくさん入りやすく、融資のリスクが少ないのと、小口の分散を徹底的にやっています。たとえば山口県では住宅ローンの平均が約2000万円です。隣の広島県だと、これが3000万円とか4000万円なのです。この2000万円は、メガバンクからすると非常に少ない融資額ですが、我々のクラスでは比較的良いロットなんです。同じ2000万円を扱うのでも、親切かそうでないかという違いがあるのかもしれません。

細川:地域の情報を集め、地域に密着してサービスを展開されているのですね。行員さんの教育はどうされていますか。

平岡:外部の方に来てもらい、私どもの銀行にないものを植え付けてもらいました。その上で内部でも人を育て、教育するようにしています。もう一つは本質の部分ですが、21時、22時まで働いていたのを18時には帰る。また、休みにも出させないというルール作りを進めています。ただ、その代わりに勉強しなくてはいけないと伝えています。

 我々が扱っている商品は、メガバンクさんや信用金庫ともそれほど違いはありません。どこに差があるかというと、どれだけお客さまのためになるかです。知識がなくてはならず、知恵を出すにはスピードがなくてはいけません。さらに言えば、その中でどれだけ腰を低くできるかということです。勉強してもらう以外に、ものの考え方と行動様式は徹底的に改めようとしています。我々クラスの銀行でも、銀行は参入障壁が高いので、自分たちが思わないうちに上から目線になる傾向があります。そこを根底から変えようとしています。本部にとっては支店がお客さんであり、支店に対する文書の出し方ひとつとっても、文書を送れば指示が徹底出来ると考えるのは大間違いです。考え方を変えようとして3年たちますが、なかなか難しいですね。