細川:どういう資質のある人を採用したいと思っていますか。

平岡:一番は弊行のカラーに合う人間です。変革ができる、リーダーになれる人です。今年は採用の方法を少し変え、集団面接をして、この人だったらついてこうと思うということに基づいて、学生たちにも採点してもらいました。ただ、我々から見ると、勘違いをする人間が多いのです。目立ったらいいとか、人を蹴落とすとか、とにかく自分が自分がという人も出てきます。残念ながらそういう人間はだめですね。リーダーは相手や周りの人を思いやる人間でないといけません。そういう人ばかりでも困りますが、リーダーについていくような人がいてもいい。野球も同じで、1番から9番まで4番バッターではなく、バントができる人間もいるし、足が速い人もいます。そういう形になっていかないと組織は回らないと思います。非常に難しいですね。入ってくるまでのそれまでの資質もありますが、入ってから与えられた環境でも違ってくると思います。

仕事が好きというのも資質

細川:これからの西京銀行の人材は、リーダーになれる人と素晴らしいメンバーシップになれる人ということでしょうか。

平岡:一番は仕事が好きということです。私はそれも資質だと言っています。私の同期は25人いましたが、当初はその他大勢の一人でした。ではなぜ頭取になったかというと、唯一言えるのは、仕事が一番好きで、一番仕事をしたからです。支店長になってからの営業成績はいいのですが、個人のときはそれほどでもありませんでした。チームを同じ方向に向かせる適性があったのかもしれません。自分ひとりだけではできません。自分が弱ければ人の痛みもわかります。一方で、厳しく言うところは言えます。自分が一番仕事をしているということを自他ともにわかっているからです。そうでなければ厳しいことを言っても素直には受け入れてもらえません。同期25人の中で自分が一番仕事が好きで、仕事に時間を割いたと言えると思います。良く例を出すのですが、ゴルフが仕事だったら係長にもなっていません。嫌いではないですが、練習まで行こうとは思いません。適性がないということです。

細川:次の人を頭取にするときはどこを見ますか。

平岡:おそらく自分と似たタイプだと思います。一言で言うと、バランス感覚ですね。かつて、私の人事部の上司が平岡のどこがいいかと聞かれたそうで、「バランス」と言っていました。突出してここがいいというのはなかったそうです(笑)。

細川:銀行経営ではバランス感覚が大事だと思われますか。無理をすると厳しいでしょうか。

平岡:高度成長期からバブル期はどこの銀行もそれほど努力しなくても伸びました。お金はどんどん預金で集まり、貸してほしいという人もたくさんいました。極端にいうと、市場が大きく、多ければ楽なのです。大都市圏で姿を消した銀行は、無理をした、いや半分楽をしたと私は思っていました。楽をして儲けようというのが銀行の体質だったと思います。

細川:銀行が求める人材は自然体で仕事が好きという方が一番いいのでしょうか。守りも攻めも強いというか。普通の業界とは求められる管理職像が違う気がします。

平岡:ATMをそこに一つ置くと、普通の業界では徹底的に儲けを考えますよね。銀行はそうではなくて、これをつければお客さんが喜んでくれて、お客さんが増えて、結果としていいことがあると考えます。1000万円以上かかっているのに、具体的な儲けを考えていない。利息を支払う預金には頭を下げて、利息を貰う貸し出しには頭を下げません。少し変わった業界でしょうか。