リップシャッツ 信元 夏代
アスパイア・インテリジェンス社 代表取締役

シャインリョコウ…???

「今年の社員旅行はパリなんです!」

 そう聞いたら、皆さんはどう感じますか。日本人なら、「わあ、うらやましい!」と思うことでしょう。それは、「パリが素敵」「会社のお金でパリに行ける」という直接的な理由の他に、「社員旅行で互いが仲良くなり、チーム団結力が一層強まる」という考えが一般化しているために、素直にいいなあと思える、という背景もあるのではないでしょうか。

 アメリカ人に同じ質問をしたらどうでしょうか。反応は恐らく、「えっ…。シャインリョコウ…」「同僚と一緒に、『旅行』?」「泊りがけの研修ではなくて『旅行』?」「パリなんていう素敵なところに行くなら絶対に家族と行くよ…」 ―― そんな反応に違いありません。個々人が団体旅行に申し込んで、たまたまほかの人たちと一緒に行動するというのなら別ですが、旅行はプライベートなもの。一緒に働いている仕事のチームメンバーと一緒に「旅行」をするなんて…。しかも、それがチーム力に貢献すると考えるなんて、ほぼ有り得ない想定です。

チーム?グループ?

 ではそもそも、「チーム」とはどういうものでしょうか。みなさんは「グループ」という言葉と「チーム」という言葉とを明確に区別できていますか。「あれ?その二つ、違うの?!」と思った方、実はチームとグループは別物なのです。

 人が単に集まっただけでは、グループに過ぎません。例えば団体旅行などは、単なる「グループ」です。現に英語でも、「Group tour」などと表現されます。決して、「チームツアー」ではありません。一方で、野球やサッカーなど、スポーツチームはどうでしょうか。決して、「スポーツグループ」という表現は使いませんよね。「チーム」です。カルチャーセンターのようなところで行うスポーツなら、「スポーツグループ」と呼んでも良いのかもしれませんが、その際の参加者達の目的は「皆が一丸となって共通ゴールを達成しよう!」というものでしょうか。そうではなく、単に「健康でいたい」「スポーツを単に楽しみたい」というような個人的目標を持つ人々がたまたま集まっただけ、ではないでしょうか。

 「グループ」とは、特定の目的を達成するために集まった複数の人々、ただそれだけです。従って、グループで何か作業や活動を行う場合、その業績は個々のメンバーの貢献の総和、それ以上にはなり得ず、一人ひとりが単に足し算でつながっているイメージです。

 一方、「チーム」とは、グループの中でも協調を通じてプラスの相乗効果を生んでいるものを指します。チームの努力は、個々の投入量の総和より高い業績をもたらすため、チームはひとりひとりが掛け算でつながって全体を形成しているイメージです。そしてチームメンバーには、共通した目的や達成すべきゴールが明確に存在しています。

 会社経営においては、「グループ」ではなく「チーム」をいかに作り上げていくか、が業績を左右する重要な組織課題となります。しかし、チームは最初から存在するわけではありません。個人の集合体であるグループから、相乗効果を生み出すチームになるには、意図的に進化を作り出し、「グループ」を「チーム」として機能するように仕向けなければなりません。

 そのようにするのが、「チーム・ビルディング」と呼ばれるプロセスなのです。そこで鍵となるのは、どうしたらチーム全員のモチベーションが上がるのか、というポイントです。