『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』
森岡 毅 著 / 角川書店 / 1,470円(税込) / 253ページ

 著者の森岡氏は、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンの運営会社、株式会社ユー・エス・ジェイ(以下USJ)の執行役員であり、チーフ・マーケティング・オフィサーである。前職のP&Gでは主にマーケティングでキャリアを積み、2010年6月にUSJへ転職。その森岡氏がUSJに入社してからの、同社の業績のV字回復について書かれた本である。

 冒頭に、「私は『奇跡』という言葉が好きではありません」という一文がある。このV字回復は決して偶然が引き起こしたこと、運が良かったこと、奇跡的なことではなく、考え抜いた結果の戦略・施策が功を奏してなし得た結果だからであろう。

 本書の前半は、この3年間に森岡氏が中心となって行ってきたことについて、その時々でどのように考え、どう判断したのか、どのようにしてアイデアを得たのかが詳しく描写されている。著者の人柄や社内の動揺・混乱・苦悩・歓喜などが目に浮かび、一気に読み進められるストーリー展開である。後半は、前半で紹介しているクリエイティブなアイデアを生み出すためのフレームワークについて解説している。

 変革を起こし、成功させるためには何が必要なのかを考えさせられる本である。決して、優秀な人材をヘッドハントしてくれば良いわけではなく、トップがどうコミットするか、変革を推進するために組織としてどう動くべきか、など、人事・組織開発的な視点からの示唆に富むストーリーである。

 年間売り上げが800億円規模の同社が、450億円も投資したというハリー・ポッターの「The Wizarding World of Harry Potter」。読み終えた時には、今年のオープンとそこからの展開がますます楽しみになった。