『駆け出しマネジャーの成長論-7つの挑戦課題を「科学」する』
『駆け出しマネジャーの成長論-7つの挑戦課題を「科学」する』
中原 淳 著 / 中央公論新社 / 950円(税込) / 294ページ

 マネジャーとは「他者を通じて物事を成し遂げる人」。つまりこれまで、「自分のタスクを追ってきた人」「自分が動いてきた人」が、マネジャー候補になって「自ら動かないこと」を求められている(本書p.31)と表現する。

 こう端的に表現されると、役割が変わること、だから求められていることも変わること、必要になるスキルも異なるであろうことが明確であり、納得できる。とはいえ、役職に任命されたその日から生まれ変わったように能力が身についたり行動が変わったりするわけではない。その変化のプロセスがよくイメージできる内容である。

 マネジャーの役割を、「ベクトル合わせ屋」など「~屋」と10の名前で表現しているのもユニークだしイメージしやすい。また環境の変化や感情面について書かれているのも興味深い。例えば、「マネジャーとて、所詮『人』です」。判断や意思決定をする立場にはあるが、戸惑うことも翻弄されることもある。だからこそ「自己のために『かかわり』や『つながり』を維持していく」ことが自己の平静を保つことにつながる(本書p.200)、と。

 役割が変わったことで新たに必要になる知識・スキルを身につけることが大切なのはもちろんだが、内面的な変化を支援することも大切だと気付かされる。その上で、部下育成、目標咀嚼、政治交渉など7つの挑戦課題について、具体的にどのような課題なのか、どう対応していくのかが、調査を基にした分析と豊富な事例とともに展開されている。また、役割についたときに研修などを行う、というだけの支援ではなく、半年・1年後のフォローアップの重要性についても事例を基に紹介されていて納得度が高まる。

 新任管理職、初めて部下を持つ人の育成の参考にしたい一冊。組織・会社として、この役割の変化をどう支援していくのか、改めて考察するきかっけにしたい。

関連図書

『新版 初めての課長の教科書』
酒井 穣 著 / ディスカヴァー・トゥエンティワン / 1,620円 / 288ページ