松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 社長

 当社(エム・アイ・アソシエイツ株式会社)では、今年の2月~3月にかけて大手企業20社のダイバーシティ推進責任者に対するインタビュー調査を実施しました。その目的は、日本企業が抱えるダイバーシティ推進上の本質的な課題を明らかにすることです。分析結果については、9月19日(金)に開催するセミナーにて発表させていただく予定です。本連載では、その途中経過の要約をご紹介したいと思います。

共通の阻害要因は「インクルージョンの欠如」

 企業における女性活躍推進のアプローチは、各企業が置かれた事情によってさまざまですが、そこには日本企業に共通の阻害要因が見られます。そもそも歴史的に女性の採用数が少ないといったことだけではなく、根本的な阻害要因は「インクルージョンの欠如」にあると言えます。

 女性管理職を増やそうとしたとき、多くの企業で「女性のキャリア意識」の希薄さや、女性管理職候補者の「キャリア形成の不足」が障害になります。しかし、それらを引き起こす原因を辿っていくと、かならずと言ってよいほど組織におけるインクルージョンの欠如という問題に突き当たります。

 また、ダイバーシティ推進部門の人々や、既に管理職に登用された女性たちを苦しませているのも、組織におけるインクルージョンの欠如という見えない壁です。組織内における多様性(ダイバーシティ)を増やすだけではなく、同時にインクルージョンの問題に取り組まなければ、いつまで経っても彼女たちは孤軍奮闘の状況から抜け出すことができません。

 そもそもダイバーシティ推進の目的は、ビジネスパフォーマンス(業績)を高めることにあります。そのため、なぜ多様性を増すことが業績の向上に繋がるのかを理解することが必要です。ところが。ダイバーシティの重要性を説かれても、現場の男性社員にとってはなかなか身近な問題として感じられません。また、インクルージョンの方が現場にとっては直接的な影響を及ぼしますが、イングル―ジョンと業績の関係についてはまだあまり気づかれていないように思われます。