松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 社長

 ダイバーシティ&インクルージョンを実現するためには、文字通りダイバーシティ推進とインクルージョン推進の両方が必要です。ダイバーシティ推進については多くの企業で取り組まれているため、何を行うかのイメージがつきやすいと思います。しかし、インクルージョン推進と聞いても、あまりピンとこないかも知れません。今回はインクルージョン推進に焦点を当てて、企業の課題を考えていきたいと思います。

ダイバーシティ推進とインクルージョン推進は車の両輪

 今年の2月~3月にかけて実施したインタビュー調査では、ダイバーシティ推進は行っていても、インクルージョン推進は行われていない企業が最も多くを占めました。女性の採用比率を増やすとともに、両立支援策によって就業継続を可能にすることで女性社員の人数を増やす。また、いわゆるポジティブアクションによって、女性管理職の人数を増やす。男性管理職に対しては、女性活躍に対する理解度を高め、支援を求める。こういったことが、日本企業の典型的なダイバーシティ推進の主な内容です。

 ダイバーシティ推進とインクルージョン推進は車の両輪のような位置づけにあるため、本来は並行的に行われる必要があります。ところが、ダイバーシティ推進がもともと女性活躍推進から出発したことや、ダイバーシティ推進部門のリソースの不足などの理由によって、多くの企業において取り組みのスコープがダイバーシティ推進に限定されているのが実情です。その結果として、ダイバーシティ推進自体もなかなか思ったように進んでいません。

 女性管理職を増やすためには、女性社員がキャリア意識を高め、十分なキャリア形成がなされることが必要不可欠です。なぜキャリア意識が高まらないのか、なぜキャリア形成が不足しているのかと原因を辿っていくと、インクルージョンの欠如という問題に行きつくことは前回のコラムでも指摘した通りです。そのため、女性の意識変革やスキルアップに力を入れて取り組んだとしても、根本原因が解決されていないため、施策の効果がなかなか現れないのです。