白井 剛司
博報堂 人材開発戦略室マネジメントプラニングディレクター

 新入社員OJTに関して、トレーナーとトレーニー(新入社員)の両者が大事にしている5つの要素(軸)の紹介も3回目。今回は2番目の要素(軸)の「任せ方」について解説します。この要素は今までの連載で何回も触れてきた最頻出の言葉かもしれません。OJTの1年間でトレーナーには常に意識してほしい要素です。概念の説明、というよりはその実践についての大切なポイントに絞って紹介していきます。

「任せ方」はOJTの前期と後期で意味あいが異なる

 まずは前回同様、社内のトレーナーに配布するテキスト、「OJT WORKBOOKの解説ページ(図1)」を紹介します。そのうえで、実践について紹介していきましょう。

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 これまで、博報堂の新入社員OJTの枠組みとして

  • 任せて・見る 6月から10月の前期OJT
  • 任せ・きる 11月から翌3月の後期OJT

という2つのステップの育成を紹介してきましたが、前期、後期の違いによって、「任せ方」の意味は変わってきます。

 前期は「仕事の選定」、後期は「業務の委譲(コミットメント)」という意味になります。

 OJTの前期はトレーニーの実務経験が少ない中で、「どの仕事を、どのような順番で何を経験させるか?」という設計が重要です。また、「教える」だけでなく経験をセットで学んでもらう、という考えを持つことがトレーナーとして何より大切です。

 後期は実務もだいぶ経験したところで今度は培われた知識、経験を活かして「自分一人でやりきる経験」をさせてOJTを仕上げます。ここでは介入せずに見守る。しかしながら任せっぱなしではなく進捗の状況は指導者として把握しているという、つかず離れずの関係で支援している状態が望まれます。