OJT日誌で着眼点を合わせながら経験と指導のサイクルを回す

 では実際に「経験⇒トレーニーの気づき⇒トレーナーのフィードバック」をどのように進めたらよいのか?これについての参考資料として博報堂で6~8月に活用するOJTの日誌のフレームを紹介します。

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 このフレームは

(1)何がありましたか(起こりましたか)?⇒トレーニーの着眼点を問う
(2)なぜそうなったのですか(何が原因だったのでしょう)?⇒トレーニーの現状理解を問う
(3)「学び」を言語化してみましょう(今回の経験から得た学びを以降に活かすために)⇒本質的な課題抽出を問う

の3ステップからなります。

 実際、使ってみると、(1)を見ることに「指導者としての一番大きな気づきがあった」という声が社内トレーナーから集まります。つまり、指導の最初のころはトレーナーが期待している着眼点と新人の気づきの対象は結構な開きがあるということです。これは上で述べたコーチングの4つのステップの一段目「できていないことに気づけていない」と近い話ですが、新人の目線から見えている世界とトレーナーが期待する状態のギャップです。

 トレーナーと新人の着眼点をそろえることは指導の初期の段階ではとても重要で、指導が丁寧で2人の意識がそろってくると、徐々に(2)の「できた/できなかった」という現状の捉え方の指導に進んでいけます。逆に着眼点がそろっていない中で、一方的にトレーナーの方から「うまくいかなかった、その原因は…」と指導を始めても新人は集中して指導内容を聴くものの、自分の問題意識とは少し離れた指導内容のためにせっかく用意した経験と結びつかない指導になってしまいます。

 仮にもし、どうしてもトレーナーとして伝えたいことがあったとしても、まずは新人が感じた(大切と思った)着眼点を聴きます。その着眼点に開きがあれば一旦新人の着目している点に指導を合わせて(その着眼点に沿った原因究明、改善点を行い)、そのあとに続けてトレーナーとして見てほしかった着眼点の話をします。そのうえで原因究明、改善点を話し合い、その次にトレーナーとして期待していた内容について話すことが理想と言えます。最初のころは本当に手間がかかりますが、これを続けることがチームの意識を合わせることに繋がります。

 また、経験と合わせて振り返りを行うこのフレームですが、一点ポイントがあります。このフレームは決して「反省フレーム」ではないので、「うまくいかなかった」ときだけでなく、「うまくいった」ときにもぜひ活用することをお勧めします。これが「強みを発見して伸ばす」ことに繋がります。