課題の掘り下げ Step2:
新人の本音や感情を認識する

 実はここまでが前回紹介した課題の捉え方です。この新人が「陥っている背景」「悪循環の構造」に対して、更に掘り下げてみます。それが「彼らの本音・言い分。感情面」(図の下段右、(4))です。

 先に挙げたような悪循環の構造に飲み込まれたときに、トレーニーに起こる感情は以下のようなものです。

・与えられた機会を活かせない「焦り」
・協働者から自分の的外れな発言に不安ととられたときの「不甲斐なさ」「不満」
・任されたはずの仕事が結局トレーナーに戻ってしまい、自分にルーティンが集中してしまう状況への「あきらめ」や本来、こんなはずではないという「苛立ち」

 トレーニー本人としては「やらなければならない」ことは分かっているものの、与えられた機会に力を発揮できない不甲斐なさ、できないことを恐れた不安があります。人によっては状況を不条理と感じて、言い分や反発があるかもしれません。

 トレーナーとしてはこの感情面を日頃から薄々は感じているもののなかなかその気持ちに向き合えないことが往々にしてあります。忙しいかもしれませんし、また、トレーナー自身が新人時代にそのような経験を乗り越えて認められたという気持ちがあるから黙って見ている、ということかもしれません。

課題の掘り下げ Step3:
トレーナー自身の「本音」「感情」「超えるべき壁」を自覚してみる

 トレーニーの感情面を考えてみましたが、これもあくまで「トレーナーの頭の中」のことです。普段の視点はトレーナー目線での原因特定(図1または図2の(2))ですから、だいぶトレーニーの置かれている状況や感じていることが見えてくるはずです。今度はトレーナーの側に戻って、トレーナーとして感じていること、薄々感づいている気持ちに戻します。

 トレーニーの状況、背景や悪循環の構造、そしてそこに対して出ている本音や言い分、感情面をすべてまるごと見たときに、トレーナーとして感じることがあるはずです(図1または図2の左下(5))。たとえば、

・「あせり」や「不安」に対して躊躇しなくてよいと励ましたい気持ち
・「あきらめ」や「不満」に対してはもっと必死に頑張って乗り越えろと言いたい気持ち

などです。

 また「自分(トレーナー)に仕事が戻ってきてしまう」ことに対して、「介入して引き取らずにトレーニーに戻すべきだった」という任せきれていないことへの反省もあるでしょう。更には、トレーニーに向き合わずに周囲に「なかなか自分で考え抜かない」とトレーナーとしての愚痴をこぼしてしまったことへの反省などもあるかもしれません。

 いかがでしょうか。こういった一連のプロセスを経て、日頃見えていなかった、押さえていた感情面なども掘り起こして、できていなかった、避けていた相互のリアルな課題が見えてくるはずです。

 トレーニー、そしてトレーナーもこういった「感情面」や「本音」を掘り下げて自覚することによって本質的な課題や、見えながら避けてきたテーマに気づけるはずです。

 新入社員OJTで扱う課題は、このような対人関係や気持ちを避けては通れません。また、本質的な課題とはきっと気持ちが揺れたり動いたりするゾーンにあるのではないでしょうか。