質問が生み出す5つの組織的メリット

 質問の組織的メリットは、第一に一人で考えているだけでなく、集団で問いかけあうことで、物事を大局的な目でみる視点が生まれやすいことです。これは、新しい視点を自分の中に入れることにもなり、また、他者の視点(考え方)の理解促進にもなります。実際、人の話の質問と答えのやりとりを聞いているだけで、私たちのなかに共通の理解が蓄積されることを経験している方も多いのではないでしょうか。

 第二のメリットは、組織としての意思決定のレベルが上がることです。視点の獲得と連携しますが、多様な視点を得ることにより詳細な精査ができます。そして、質問は、傾聴を促し、意思疎通を改善します。人は、質問するためには話を聴かなければならないですし、質問したことに関する答えは興味をもって聴くことができるからです。質問がないと、他者について誤解が生まれたまま、意思決定に齟齬(そご)が生じることがあります。

 第三には、イノベーションを生みやすくなることです。質問によって、柔軟でイノベーティブな組織をつくることができます。質問による多様性の担保と相互受容の関係性が、新しい変化を受け入れやすくし、全く新しい視点を生み出すことができるのです。

 第四にあげられるのは、質問することによって、依存から自律に組織を変容することができます。質問をすることで、人は物事に関わることをしだすのです。いままで、他人ごとだったことが自分ごととなり、動機づけがされます。質問は人にエネルギーを与えます。

 第五には、チームワークをつくることができることです。質問することは、相互のものの見方を理解し、自分自身の考えを一層明確にすることになります。また一方、他者に対しては、尊重や思いやりを示すことになるからです。

 そして、集団を変容させると同時に、それぞれの個人をより変化させていきます。多くの組織において、リーダーの変容をこの組織の変容と同時に行っているのは、その力の開発が相互で行われるべきものだからでしょう。個人にとってのそのメリットと合わせて、次回は質問する文化のメリットについてより詳細に考えていきます。

【今回のポイント】
●組織開発のベクトル
(1)戦略 (2)業務プロセス (3)制度、仕組みなど (4)人的プロセス 4つが相互に関わりながら行われる
●組織を開発する際の対象は、
(1)個人 (2)小集団(チーム) (3)大集団
●質問が組織に生み出すメリット
(1)視点の獲得 (2)意思決定のレベル向上 (3)イノベーションを生む (4)依存から自律への変容 (5)チームワークを作る