松丘啓司
エム・アイ・アソシエイツ(株) 社長

 今回の連載コラムも5回目になりますが、企業における女性活躍推進はそもそも何を目指すのかというテーマについて、あえて立ち止まって問題提起をしたいと思います。企業のダイバーシティ推進の責任者とお話ししていると、目指す姿に何となく疑問を感じることがあります。その違和感は何だろうと、あらためて考えてみると、それは女性活躍をゴールと捉えるか、スタートと捉えるかの違いによるような気がしています。

女性の活躍する会社を創ることが目的か

 望むと望まざるとにかかわらず、女性管理職比率という指標がダイバーシティ推進の目標として広く設定されるようになっています。数値目標には、活動の計画性を高めたり、目標達成に向けたストレッチを促したりする効果があるため、数値目標を設定すること自体の意義を否定するつもりはありません。けれども、先に数値目標から入ってしまうと、目的がよく吟味されなくなる恐れのあることには注意が必要です。

 言うまでもなく数値目標には何らかの目的があります。たとえば、体重を5キロ落としたいという目標を設定する人には、もっと格好よく見られたいとか、健康になりたいとかいった目的があります。明確な目的が先にあって、その目的を達成するために数値目標が設定されるのが通常の順番です。しかし、目的が曖昧なまま数値目標が議論されると、目標ありきで、目的が後から検討されることになります。目的なしに数値目標だけが存在することはあり得ないからです。

 そこで、女性管理職比率を高めることの目的は何か、と皆があとづけで考え始めます。その際、政府が「すべての女性が輝く社会へ」などと言っていることもあってか、女性が活躍する会社を創ることこそ女性管理職比率を高める目的である、と捉えられることも少なくありません。そこに落とし穴があるように思います。

 誤解のないようにお断りすると、私は女性の活躍に反対しているわけではなく、企業はそのポテンシャルをもっともっと活かす必要があると信じています。けれども、女性が活躍する会社を創ることをダイバーシティ推進の目的にしてしまうと、そこがゴールであるかのようなイメージができてしまうところに問題があると思っています。