今の30代の若手男性管理職にとって、45歳以上の昭和DNAを引きずった男性上司たちは、ロールモデルではなく、ああはなりたくない、なってはいけないという反面教師となっている人の方が多いという実態は、実は深刻なものです。なぜなら、30代の若手管理職自身が、20代の部下たちのロールモデルとなり、メンターとなることを求められているからです。だからこそ、若手管理職たちは、そのために研修を受けて自らがそうなろうとしています。私は、この30代男性中心の研修のクラスの、受講生の真剣で積極的な態度に、彼らの切なる気持ちを感じます。

知らぬ間に遺伝している昭和DNAに愕然

 私のモチベーション・マネージメントの研修では、夜に絵を描くグループワークがあります。部下に対する悩みを共有して、それを絵に描き翌日に発表するというものです。10年前は絵自体が描けないという男性管理職ばかりでしたが、30代中心の男性管理職たちは、カラフルな絵を描くグループが増えました。

 なんでこんな絵を描くワークをと思われるかもしれませんが、
「カラフルな絵が描ける」⇒「右脳が良く使える」⇒「気づく、感じる、心が使える」
ということで、モチベーション、つまり活き活きの源泉である「心」をどれだけ意識できているかということが分かります。ちなみに女性のクラスでは男性とは比べ物にならないほど絵を描くのを楽しみます。女性は心を意識し、大事にしている人が多いからです。だからこそ絵を描ける男性が増えたということは素晴らしいことです。

 しかし先月のクラスで、「自己中心的な部下」というテーマで絵を描いたグループは、腕組みをしている部下の絵の周りに、カラフルなキャンディーと鞭、そして乾杯しているビールのジョッキーが描かれていました。その絵の発表を見た他の受講者たちから
「飴と鞭、飲みにケーション、昭和DNAそのものだ!」
と感想が上がり、発表したメンバー4人も
「俺たちは絶対に昭和の企業戦士じゃない30代だと思っていたのに、遺伝子をしっかりもらっちゃってました。大反省!」
このやり取りに、一同大笑いとなりました。

 30代の管理職の男性たちは、必死で自分たちが今の時代のロールモデルとなる管理職になろうと思っています。しかし、彼らはオールドキャリア時代の昭和企業戦士の下で働いてきました。こき使われてきてはいるものの、育ててもらった記憶がほとんどない。そんな中で、DNAが知らず知らずに入りこみ、彼らを蝕んでいます。だからこそ、彼らは危機感を感じて、今の時代の素敵なリーダー「イクボス」になるために、リーダーシップについて学ぼうと自主的に手を上げてくるのだなと感じます。