自己紹介=自分の会社&担当業務案内

 信頼関係を築くコミュニケーションの第1ステップは、自己開示です。自分自身が心をオープンに開くことによって、相手も心を開きます。つまり、自己紹介の時にどれくらい自己開示できるか。プライベートな話や、うれしかったり、つらかったりという感情部分を見せられるかです。男性の1分間自己紹介は、必ずといっていいほど会社名と所属、自分がやっている仕事の話で始まり、そこで時間切れという人が多い。自己紹介のはずが、会社案内&担当業務案内になってしまっています。

 自分自身のことを語れないのは、自分が何者かを考えた時に名刺以外のことが思いつかないからでしょう。それは、単なる与えられた役割、仕事の話であって、自分自身を語っているのではないことに気付けていません。長年同じ職場で働いていても、男性は意外にお互いのことを知らなかったりします。特に会社関係、仕事関係の人たちとは、表層的な人間関係しか育めていないのは、ここに原因があります。

 しかし、女性の研修は全く違います。自己紹介の1分では、仕事のことよりもプライベートな話、家族構成だったり、趣味だったり、いきなり個人情報が飛び交います。また、落ち込んでいるとか、心配ごとがあるとか気持ちの話も入ってきます。心を開いて、自分自身のことをしっかり伝えます。だから、あっという間にお互いに打ち解けて、2日目の朝には、クラス全員が前からの友人みたいな状態になっています。

 そして不思議なもので、4人テーブルに1人でも女性が入ると、女性の自己開示とコミュニケーション能力に影響されて、男性たちも急に自己開示が始まり、積極的にコミュニケーションをするようになります。笑顔も出てきます。

「電話くん」の次は「スマホくん」。研修に集中できないのは男性ばかり

 研修中、10分の短い休み時間ごとに、部下に電話をしては何やら確認や指示をして、いつも電話を切りかけながら戻ってくる男性管理職の姿。2000年からの10年間で毎回、数名見かけました。私はこっそり、彼らを「電話くん」と命名しました。電話くんたちは、研修に集中できていないので、実は周りの人たちにも迷惑をかけています。だから私は、電話くんに聞きます。

 「休み時間ごとに電話をかけないと心配でいられないの?」

 「大トラブル発生で、あなたの指示や判断を求められているの?」

 「部下のやること、全部確認しないと気が済まないの? 部下に任せられないの?」

 彼らは返事に窮し、言葉を濁して苦笑いします。電話くんは、研修が進むうちに、電話をかけるのを忘れていきます。2日目は全くかけていません。つまり、初日もかける必要はなかったのです。電話で部下に指示を出す姿は、忙しい振りをしているみたいに見えます。この人は部下を信頼していないなとも思います。また、仕事最優先で、研修は二の次ということも見え見えです。

 そこで、私は電話くんを見かけると、こんな声をかけるようになりました。

 「毎時間電話しないといられないほど仕事のことが心配なら、この研修に出ている場合ではないから、キャンセルして会社に行った方がいいですよ。今日の研修は、あなた自身の成長と進化のための貴重な時間です。今後の仕事のためにも研修に集中することを勧めますよ」