「会社で20年以上頑張ってきて、こんな仕打ちをされるなんて会社に裏切られた。会社を辞めてやる!」

 「私を役職定年にしたら女性管理職が減るのに、あり得ない。会社を辞めてやる!」

 「私はまだまだできるのに、子会社に出向なんてひどすぎる。会社を辞めてやる!」

 これは、50代に突入した私の友人、女性管理職たちの叫びです。3人とも、パワハラやセクハラではなく、いわゆる役職定年の年齢になったために、会社から降格&人事異動を言い渡され、ショックのあまり私に相談をしてきました。

 10年前くらいから、役職定年制度を導入する企業が増えてきました。最近では、50歳以上の高職位社員が増え続けるなか、多くの企業が役職定年制度を取り入れるようになりました。課長職だと50歳前後、部長職で55歳前後が“役定”となっている企業が多いようです。また大手企業のなかには、50歳を過ぎた管理職をどんどん子会社に出向転籍させていく会社も増えています。そのような社会背景のなかで、彼女たちは役職定年の適齢期となったのですから、その処遇は、当たり前の出来事です。しかし、当事者にとっては、「自分だけは特別であってほしい」というかすかな願いを持っており、そう簡単に受け入れられるものではありません。

 3人とも独身または既婚でも子供がいないため、短絡的に会社を辞めると言いだしました。結局、彼女たちは思いとどまりましたが、会社に対する恨みのような気持ちを今も引きずっているようです。これが男性の場合だと、だいたい家庭があるので「役職定年」はショックでも、「辞める」という考えには至らず、プライドが傷ついた状態で、ふてくされたり、モチベーション低迷したりの状態に陥るようです。

昭和な「年功序列」の弊害の後処理のために必要

 50代で管理職をやっていれば、必ずやってくるといえる「役職定年」。この制度により役定になった社員のモチベーションが下がりすぎるために、撤廃しようという企業もあるようですが、なぜ、この制度が必要なのかというところを深掘りする必要があります。

 役職定年制度は、昭和な企業の「年功序列」の弊害の後処理のために必要です。私は20~30代の頃、まさに昭和を引きずる2000年まで、いすゞ自動車と全日空グループの会社で働きました。そこには、“ザ・昭和”な年功序列の恩恵でラッキーにも管理職になっている男性たちが、たくさんいました。

 「なんで、接待費ばかり使って飲み歩いている人が課長なんだろう?」

 「パソコンで昼間ゲームばっかりやっていて部長なんだろう?」

 もちろん尊敬できる管理職の方もいらっしゃいましたが、私の実感ではそういう方は3割程度。あとの7割は年功序列と上層部へのゴマすりで、管理職になっているとしか思えませんでした。

 しかし、彼らは平気で「若い時に身を粉にして働いていたんだから、管理職になったら交際費が使い放題、楽しまなきゃ! お前らも20年以上働けば、いい思いができるんだよ」と豪語していました。まさに、この言葉に、昭和時代の年功序列によって管理職になった人たちの原点を見ることができます。

 昭和の時代は、企業が社員の定着のために「終身雇用」を約束したうえで、社員を兵隊として縛り付けるために、若い時には薄給でこき使い、しかし長年働き続けたら、給料も増やし、役職も上げて、最後にたっぷり退職金を払うというシステム「年功序列」を導入しました。能力での差は多少あるものの、滅私奉公で頑張れば、ある程度の年齢で課長になれ、そこからある程度頑張った人は部長くらいまでにはなれるようなシステムです。そして基本的には定年まで、給料も職位も落ちることはないという契約です。企業はそんな管理職をずっと雇用する必要はなく、55歳の定年で、全員に退場してもらうことができました。