しかし、一億総活躍、定年延長で60歳定年が当たり前となり、さらに雇用延長が65歳から70歳まで引き上げられようという時に、この年功序列システムによる、昇格制度というのは、もはや成り立たなくなりました。昇格に関して、年功序列を意識しなくなった会社は非常に多いと思います。私は多くの企業の課長昇格研修に登壇しますが、「30~50代」と幅広い年齢になっていることを感じます。

 管理職への昇格に関しては、脱昭和となっている企業が多いなか、管理職を終えるシステムというところがまだまだうまくいっていない。昭和は55歳が定年退職だったけれど、雇用延長になって定年が延びた時に、そのままの職位と給料を保証し続けるのか? これは企業として、とてつもない負担となります。

 だからこそ「役職定年」は、昭和の、年功序列の管理職制度の弊害を終わらせるために必要な制度なのです。決して、会社の裏切りとか、単なる肩たたきではない。もちろん、「役職定年制度」は年齢で切って、役割を終えるため、非常に実力もあり人望もあり、まだまだ管理職を続けてほしい人もそこで役割を終わることになります。

引退を望まれてしまう50代の管理職とは

 では、皆さんの会社で50代の管理職を見てください。「役職定年」を超えても、ずっと管理職として続けてほしい、もっとストレートに言えば自分の上司として頑張ってほしいと思える人がどのくらいいますか? 私の周りの20代・30代・40代前半の方々の声としては、1割程度の人には、続けてほしけれど、9割の50代の管理職には引退してほしいと思っています。それはなぜか、実は単なる年齢的なことが問題ではありません。50歳以上の管理職のなかで、今の時代の管理職としての役割を果たせている人が、あまりに少ないからです。

ダイバーシティー時代に求められる管理職!

 今の50代の管理職は、昭和の時代における管理職システムの最後の世代です。年功序列から実力主義に変わる時代の変化を体感はしているものの、意識は昭和管理職的な感覚です。つまり、昭和の軍隊型ピラミッド組織では管理職になることは偉くなること、「一国一城の主」のような、権力の象徴的なものととらえます。つまり、管理職でなくなることは、自分の力を失うことを意味するために抵抗します。

 しかし、現在のダイバーシティ時代の管理職は、権威の象徴ではなく「組織と人の成長担う重要な役割を果たす人」です。部下を育て成長させながら、しっかりと業績を出していく。これに求められるのは、部下との信頼関係を育む人間力です。部下から信頼される管理職でなければ、管理職としての存在価値はありません。「部下に好かれてどうする? 部下にゴマするのか? 部下からは嫌われてなんぼのもの」といった昭和時代の意識だったり、近い将来の役定などによる給料減で、自分の家のローンと子供の教育資金ばかり気にして、部下のことなど何も気にしていない人では、管理職として失格です。

 ある意味、今の時代の管理職としての役割をしっかり果たせる人は、管理職を継続、そうでない人は降格という、役職定年ではなく、「管理職役割制度」が確立されることが理想です。管理職にしっかり役割基準を持たせ、その基準に達していれば、年齢にかかわらず役職に就き、その役割を果たせなくなったら降りる。また、降りるという判断を管理職自身もできて、周りもできるような制度です。実際に私の知るダイバーシティ先行企業においては、昇格、降格が日常茶飯事だったりします。しかし、多くの会社はいきなりこのような形にはできない。だからこそ「役職定年制度」が、その前の布石となります。