優秀な労働力確保の面からも、国の成長戦略の一環としても、企業は今以上に「女性を生かす」経営を求められている。

 しかし、実態は芳しくない。例えば、2020年に指導的地位に就く女性の割合を30%にする目標については、2019年の上場企業における女性役員の割合は5.2%にとどまっており、諸外国と比較しても大きく見劣りする状況のままだ。

 女性活躍推進の歩みが遅い背景には、「女性特有の健康課題に対する対策」が十分に行われていない、または、その重要性にまだ目が向いていないことも影響していると考えられる。

 「女性特有の健康課題って何?」「どうしてそんなことが関係するの?」と思った読者もいるだろう。

 実は女性の就業継続や管理職昇進は、思っているより密接に「その人の健康状態」とつながっている。結論を先に書くと、活躍する女性を増やすには「女性の健康を増進する健康経営」にどれだけ取り組めるかにかかっている。

健康に自信がない女性は離職しやすく、昇進に消極的

 というのも、年齢を重ねるにしたがって病気が増える男性と違って、女性は入社当初の若い時期から定年を迎えるまで、長い年月を通じていつも健康問題を抱えやすいという性的な特徴があるからだ。

 しかも、女性が長く働き続けたいと思うかどうかは、自分の健康に自信が持てるかどうかに左右されるということが分かった。

 これは、全国の働く女性1000人を対象に日経BP総研と一般社団法人ラブテリが実施した「働く女性の仕事と健康に関する調査」の結果だ(2019年)。この調査からは、自分の健康に自信がない人は離職を検討したり、離職する率が高いことが明らかになったほか、健康に自信がない女性は、仕事の生産性が低いことも分かった(下のグラフ)。

出所:「働く女性の仕事と健康に関する調査」(日経BP 総研 メディカル・ヘルスラボ & ラブテリ)
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出所:「働く女性の仕事と健康に関する調査」(日経BP 総研 メディカル・ヘルスラボ & ラブテリ)
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 さらに健康不安を抱えている女性は、昇進に対しても消極的だという結果が出ている。健康に自信がないと、責仕ある立場に就く決心もできず、そもそも仕事を続けることにも前向きになれないというのが女性たちの率直な心情のようだ。