2019年7月にはpoint 0 marunouchiの開設と同時に、アサヒビール、オカムラ、東京海上日動火災保険、TOA、TOTO、パナソニック、MyCity(東京・千代田)、ライオンの合計9社が実証実験を実施することを表明。これは、CRESNECTによる第1弾プロジェクトに位置付けられる。このプロジェクトを運営するための企業、株式会社point0(東京・千代田)も同年2月に設立している。

 今回のイベントの冒頭には同社の設立メンバーが登壇し、point 0 marunouchiのオープンから半年間での成果や将来の展望を披露した。point0の代表取締役を兼務しているダイキン工業の石原隆広氏は、同施設の意義を「本気のオープンイノベーションによる新たな価値創造のため」だと語る。

コワーキングスペースでイノベーションの創出を加速

 実際、point 0 marunouchiの個室やオープンエリア、会議室には、参加企業各社が開発した最新技術を組み合わせた機器・設備が導入されている。例えば、オープンエリアや会議室は利用者の好みに合わせて空調・照明・香りをコントロールする仕組みだが、空調ではダイキン工業、照明はパナソニック、香りはライオンの技術が活用されている。オカムラが開発した、立ち仕事・座り仕事を組み合わせられる上下昇降デスクも設置されている。BGMには、TOAが快適に働けることを目指して開発した自然音が流れる。

 TOTOがプロデュースしたオフィス向けシャワールーム、アサヒビールが開発したアルコール分3%のビールサーバーを置くカフェ、ダイキン工業とパナソニックの協業で設置した仮眠室も完備している。東京海上日動火災保険は、この施設で収集したデータを分析して健康経営ソリューションなどを開発予定。MyCityは、利用者アプリケーションを含めて施設全体の運営を担う。

個室に設置されたオカムラのセンシングチェア「Census」。座る人の姿勢をセンサーで計測。背もたれに背中がついているか、座面の奥まで座っているか、左右バランスよく座っているかなどをチェックできる。

 今後も働きやすさを向上させて、2020年上期中には「WELL認証(Well Building Standard)」の取得を目指すという。WELL認証とは、オフィスの健康性と快適性を総合的に評価する国際的な認証制度。「空気」「水」「食物」「光」「フィットネス」「快適性」「こころ」という多様な観点でオフィス空間を評価する仕組みだ。

 石原氏は、このプロジェクトに参加する利点を「新たに浮かんだアイデアをすぐに実際に試せること」だと語る。現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に向けて、最新技術を活用した実証実験を実施している企業も多いが、協業相手との調整や必要な機材の調達のためにプロジェクトの始動までに数週間や数カ月といった期間を要しているのが現実だ。

 しかし、この施設ではIoT(インターネット・オブ・シングス)技術をはじめとしたインフラが整備されているので、短期間で実証実験にとりかかることが可能だ。参加企業が個室に入居しているので、気軽に異業種の知見を聞くことができるコワーキングスペースならではのメリットもある。この施設で最新技術を活用した機器・設備を外部の人に見てもらえばショールームとしての役割も果たせる。実際、上下昇降デスクを配備したオカムラや、自然の風を再現する送風機を設置したダイキン工業、顔認証システムを導入したパナソニック、感情に合わせて最適な香りを揮散するデバイスを設置したライオンなどには、見学企業からの問い合わせが増えているという。