人事には言葉を選ぶ力が必要

松丘:そうなると当然、人事の役割が変わってきますね。

佐藤:最初はやはり違和感があったみたいです。今まで経験してきたPMというのは、会社なり人事なりが緻密に設計して、それに従って運用しなければならないというものでした。けれどもGPSのように、大枠だけ与えられて後の運用は自分たちだけで考えてくださいというやり方こそが、今の時代に求められる一つの働き方の象徴なのです。

松丘:それはどういう意味ですか?

佐藤:決まったものに従ってやるのではなく、何が本当に求められていることなのか、何をしなければならないのかを自分たちで考えて、自分たちに合ったものを作っていく。自分たちがその決定にも参画するし、その結果に対しても責任を負いながら、必要があれば変化を加えて良いものを常に追求しながら改善していくというような働き方が求められているということです。その考え方は、評価制度にも同じように入っているんですよと話しています。

松丘:その考え方を現場に浸透させるために重要なことは何ですか?

佐藤:考え方をきちんと伝えるということが大事だと思います。そこは人事の責任だと思うのです。どういう考え方で作られているPMで、何をしなければならないのかを繰り返し伝えていく。伝わるように説明をする。興味を持ってもらえるような言葉を選ぶ力は、人事にとって大事ですね。また、興味が失われないようにどんどん新しい情報を供給していくことも必要です。みんなが興味を持ってくれる生きた仕組みとして保っていくところが、工夫のしどころと考えています。

ギャップジャパン株式会社 人事部 シニアマネージャー
佐藤陽子(さとう・ようこ)
2005年英国アストンビジネススクール人事・ビジネスマネジメント修士課程修了、人的資源管理論でMSCを取得。製造、消費財、金融など外資系日本法人を経て、2007年ギャップジャパン株式会社に入社。日本および中国にて新ブランドの立ち上げ支援、グローバルオペレーションモデル移行時に日本の人事の役割確立に貢献。2014年よりシェアードサービス部門人事シニアマネージャーとして、Gap Inc.がグローバルに展開する人事プログラムの日本での導入を行っている。
エム・アイ・アソシエイツ株式会社 代表取締役
松丘 啓司(まつおか・けいじ)
1986年東京大学法学部卒業後、アクセンチュア入社。同社のヒューマンパフォーマンスサービスライン統括パートナーを経て、2005年に企業の人材・組織モデル革新を支援するエム・アイ・アソシエイツ株式会社を設立。同社ではパフォーマンスマネジメント、ダイバーシティ&インクルージョンなどの領域を中心にサービスを提供。2013年に提案力の強化を支援する株式会社ビー・アーキテクトを設立し代表取締役に就任。主な著書として、『人事評価はもういらない』『論理思考は万能ではない』『アイデアが湧きだすコミュニケーション』『ストーリーで学ぶ 営業の極意』『提案営業の進め方』『組織営業力』などがある。