2019年7月に開設されたコワーキングスペース「point 0 marunouchi」において、異業種企業が共同で、未来のオフィス空間を創出するための実証実験を展開中だ(詳しくはこちら)。実証の成果や進捗・展望を披露するイベント「point 0 ignite 2020 winter」が2020年2月3、4日に同施設で開催された。この中で、プロジェクトに参加しているMyCity(東京・千代田)、ソフトバンク、パナソニックの担当者が自社の取り組みを紹介したうえで、2030年を想定した「未来の働き方」を議論した。
(取材・文=吉川和宏)

3社の共同で施設の利用状況を可視化

 この3社は共同でpoint 0 marunouchi内に、様々なセンサーや設備機器などから収集した情報をクラウド経由でスマートフォンやPC、デジタルサイネージで確認できるサービスを導入しようとしている。

 施設の利用者向けには、顔認証システムと連動して施設内にいる人とその位置情報をリアルタイムで表示するスマートフォンアプリを提供予定。利用者の位置情報を施設案内や温度分布と併せて表示する機能も備えている。デジタルサイネージには、人感センサーで収集した情報を基に施設の利用状況を表示する。施設内の温度分布を可視化することも可能だ。管理者向けに、顔認証情報を基に来館頻度や利用時間などを解析するアプリも提供予定だ。

顔認証システムによって、登録されている施設利用者は両手に荷物を持っていてもハンズフリーで入室できる。(撮影:吉澤咲子)

 オフィスや不動産の領域でIoT(インターネット・オブ・シングス)サービスを提供するMyCityは、オフィス内で人の位置情報や空調情報を可視化するサービスを2019年3月に完成した超高層ビル「渋谷ソラスタ」に導入。合計で約3000人にも及ぶビル入居者の働き方改革を支援しているという。

 同社の石田遼氏は、2030年のオフィス空間について「パーソナライゼーション、マイクロアップグレーディング、シームレスの3つがキーワードになるでしょう」と指摘する。  パーソナライゼーションとは、利用者の働き方をAI(人工知能)が分析して生産性・快適性を高めるような行動変容を促すレコメンデーションが提示されるものだ。

 2つ目のマイクロアップグレーディングとは、収集したデータを活用してオフィスを進化させる取り組みのこと。point 0 marunouchiでもデータを分析した結果、固定席よりも少人数用の個室ニーズが高いと判断して、4人用個室を新たに2室追加しているという。最後のシームレスとは、働いている状況とそうでない状況の境目がなくなることを指す。カフェでランチをとった後にそこで仕事をする、あるいは遊びに行ったリゾート地でも働く環境が整備されたような状況のことだ。

MyCity 代表取締役 石田 遼 氏