急ピッチで広がる「働き方改革」。コロナショックで、その動きはさらに加速中だ。けれど、時短推進と業績向上はどうすれば両立できるのか。対応に悩む社長は多い。経営者向けメディア「日経トップリーダー」が、先行事例を徹底取材するシリーズ。第1回は、働き方改革で先頭を走るサイボウズの青野慶久社長へのインタビューだ。

青野慶久(あおの・よしひさ)
1971年愛媛県生まれ。94年に大阪大学卒業後、松下電工(現パナソニック)を経て、97年にサイボウズの設立に仲間とともに参画。2005年4月に社長に就任。(写真/竹井俊晴)

(Q1)「働き方改革」はどこから手をつければいい?
(A1)社員の意見に耳を傾けることが、すべてのスタートです

 働き方改革の根本にあるのは、一人ひとりの社員の中にある問題をどう解決していくかだと私は考えています。従来は企業が決めた働き方のルールに、社員を従わせればよかった。しかし、ライフスタイルの多様化に伴い、働き方にも様々な要求が生まれている。中小企業もそれを避けては通れません。何から改革を始めたらいいか分からなければ、全社員に意見を聞くことから始めるしかありません。そこから導き出した結果が、「100人100通りの働き方」の実現を目指すサイボウズの働き方なのです。しかし、社員の本音はなかなか聞き出しにくいし、なかには実施しにくいこともある。

 当社では「個人の考え方は絶対に否定しない」という姿勢でヒアリングを始めました。そして、聞いた意見に「どうしたら実現できるか」を真剣に考え、実行してきました。経営者としての本音は、「全員の意見なんて面倒くさくて聞けない」です。私自身は無休で働いてもOKだし、誤解を恐れずに言えば「ブラック大好き」。ところが2005年に離職率が28%に達し、自分の考えを押しつけるのは傲慢(ごうまん)であることに気づきました。これが改革のきっかけとなり、たどり着いた答えが社員全員の意見に耳を向けることなのです。