(2)License-to-Create(創造許可)

 「License-to-Create(創造許可)」が社員に付与され、創造性を発揮できる仕組みや仕掛けが実際に機能する組織には、自発性と俊敏性が生まれます。また社内の雰囲気も明るくなり、エンゲージメントの向上に非常に大きく作用します。日本の大手企業には、創造性がとことんそぎ落とされているところが少なくありません。それでは、働く人を生かし働きがいをもたらしたり、市場における次なる成長を獲得したりすることもできません。

(3)Trade-on(トレードオン)

 「Trade-on(トレードオン)」は、トレードオフと対をなす概念です。これまでは、事業と社会または自然環境の発展とは、二律背反(トレードオフ)の関係にあると考えられがちでした。しかしこれから求められる戦略は、事業の発展と社会や自然環境の相乗的な関係です。このことを、私は「トレードオン」という造語で表現しています。トレードオンを志向する企業は、自社のブランドアイデンティティにおいて単なる「性能的卓越」(機能性、品質、デザインなどの優位性)を表現するのではなく、「社会的卓越」(社会や自然環境への姿勢と取り組みでの優位性)も併せて発信し、「ダブル・エクセレンス」を目指しているといえます。

 以上が、しなやかで強い組織であるための3つの共通点です。硬直化してしまった日本の多くの企業組織では、これらを発揮・実現できていないのが現状です。

 次回は、企業がしなやかで強い組織になり、マネジメント・イノベーションを起こしていくのに必要な経営メソッドである、「トリプルA経営メソッド」について解説します。また、企業の「あるべき姿」に向けて変革をもたらす「マネジメント・イノベーター」についてご紹介していきます。

大塚 葉(おおつか・よう) 日経BP 総合研究所 HR事業部 上席研究員
大塚 葉 日経BP入社後、「日経PCビギナーズ」発行人兼編集長、日経ビジネスオンライン、日経WOMANプロデューサー、日経BPコンサルティングカスタム出版本部第二部長などを経て現職。著書に『人材マネジメント革命~会社を変える〝カリスマ人事″たち~』『攻める周年事業で会社を強くする!』(いずれも日経BP)、『社史・周年史が会社を変える!』(日経BPコンサルティング)、『やりたい仕事で豊かに暮らす法』(WAVE出版)、『ミリオネーゼのコミュニケーション術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。