岩元宏輔
学校法人産業能率大学 総合研究所 経営管理研究所 研究員

経営幹部よりも新入社員の方が、モチベーションが高い!?

 桜の開花を追いかけ追い越し、全国各地で新入社員研修に登壇する4月は、講師にとっても何か普段と違う、特別なシーズンだと感じます。

 彼ら彼女らの初々しさ、未知なる生活への希望や不安、時にこちらがヒヤッとするような発言や行動。以前、民間企業の教育部門で、新入社員の受け入れを担当していた時期もありますが、めまぐるしい毎日ながら、現場に送り出す頃には少し物悲しい気分になっていたことを思い出します。

 この記事もまさに新入社員研修シーズン真っ只中に書いているのですが、ある意味このような気持ちを裏づけるような興味深い調査結果があります。

 産業能率大学が今年1月に発行した「第7回 マネジメント教育実態調査〜人材開発活動の過去・現在・未来〜」は、経済環境の変化に伴う人材開発活動の変遷を明らかにすることを目的とした調査の報告書です。2008年、2010年に実施した調査のデータと比較し、変化や実態を考察しています。

 その中で、社員のモチベーションの状態を階層ごとに調査したデータがあります(図1)。

図1 各階層におけるモチベーションの状態

 この調査から、モチベーションを「高い」もしくは「やや高い」と答えた割合は、経営幹部が84.5%、管理職が65.3%、中堅社員が44.8%、若手社員が62.5%、新人(新入社員)が85.5%。わずかながら経営幹部よりも新入社員のほうが「モチベーションが高い」という結果が出ています。

 先日行ったある企業の新入社員研修では、最終日のプログラムとしてグループごとに今後の意気込みや心がけを発表してもらいました。その会社では5グループ中2グループが「社長を目指す!」という大変頼もしい宣言をしていました。データのみならず、研修講師としての実感としても、新入社員のモチベーションの高さを感じる機会は少なくありません。

 一方で、ワースト1位・2位は中堅社員・若手社員です。組織の誰よりも意欲が高く、やる気にあふれていた新人が、数年で一気にトーンダウンしてしまう。せっかくの若い力が、職場の中ではなかなかうまく生かされていない。すなわち若手社員の「本領発揮」がなされていない状況を映し出しているのです。