佐原 資寛
(株)ガイアックス エアリー事業部 部長

 4月1日から女性活躍推進法が施行され、企業の対応が求められています。職場のコミュニケーション不全を解消し、女性活躍推進を成功させるためのポイントをご紹介します。

仕事と子育ての“両立支援”だけでは歪みが生じる

 私たちは累計2,000社を超える企業や団体に社内SNS「エアリー」を提供し、社内コミュニケーションの円滑化、活性化促進を支援してきました。2009年2月からは、ダイバーシティ推進支援に特化した社内SNS「エアリーダイバーシティ」を提供しています。

 提供開始当初は、イントラネットを見ることができない休業中の社員への会社情報の発信や、社内情報の提供による帰属意識の維持など、福利厚生的な要素も強く“復職”がゴールのような考え方をする企業が多かったように思います。

 当時は次世代育成支援対策推進法(通称、次世代法)に規定された一般事業主行動計画を策定し、「くるみんマーク」を取得することが仕事と子育ての“両立支援”を推進する企業の証でした。産休育休制度や短時間勤務制度の拡充により高い復職率を達成し、くるみんマークを得た企業は早々に、ダイバーシティ推進の軸足を介護への対応や外国人の受け入れに移していきました。

 しかし、両立支援における急激なかじ取りのしわ寄せは、現場に現れます。上司からは「短時間勤務制度を使って、早く帰る社員を頭数1人としてみなされるのは困る。営業には戻さないでくれ」という声が聞かれ、復職した本人からは「今は育児を重視したい。制度として認められているのに、それを使って何が悪いのか?」といった声や、逆に「短時間というだけで、責任ある仕事もポジションもすべて取り上げられた」という話が出るようになりました。

 こうした歪みは皮肉なことに復職しやすくなったことが引き金となっています。もちろん以前に比べて復職しやすくなったことは良いことではありますが、結局のところ制度を作るだけでは不十分だったといえるでしょう

女性活躍推進の障壁となる様々なギャップ

 なぜ育児支援制度の拡充に伴って歪みが生まれたのでしょうか。それはこれまで、女性が育児をしながら働くことが想像以上の覚悟と苦労を必要とするものだったからです。別の言い方をすれば、そういった女性の努力に依存し、上司を含む職場はそれが当たり前という前提がありました。現在では、育休を取って復職すること自体、ハードルが低くなっており、急激に復職しやすくなったことで、それに対して職場や上司の意識が追いつかず、結果的にギャップを生み出しているのです。

 また、大きな苦労をし、バリバリのキャリアウーマンとして育児と仕事の両立をしてきた社員をロールモデルとして、若手社員や復職してくる社員に見せることは、自身のライフキャリアのイメージとのギャップを生みだしてしまいます。これは企業に対する不信感につながりやすいため注意が必要です。一見、当然のことのように思えますが、復職後のキャリアを中心に考えてきた方が多いダイバーシティ推進担当部署では陥りがちな罠です。

 一方、企業側とすれば、復職した以上は中長期的に活躍してもらう必要があります。いわゆる“ぶら下がり社員”にならないよう、キャリアについても考えてもらいたいところですが、復職しやすくなっている状況下では外部からの刺激がないと、育児の大変さに追われ、そこまで考えることができないという社員も出てくるでしょう。