日経BP総研とビズリーチでは、「人材・採用戦略」をテーマとした公開セミナーを3回開催する。その第1弾として2019年4月26日、日本経済新聞社大阪本社にて「ゲームチェンジング時代を勝ち抜く人材獲得・採用戦略セミナー」を開催。経済学者であり大阪大学大学院経済学研究科准教授の安田洋祐氏の基調講演と、採用戦略の先進企業によるパネルディスカッションが行われた。テーマへの関心の高さを物語るかのように、開場早々に企業トップや人事担当者が続々と詰めかけ、会場は参加者の熱気に包まれた。
(取材・文=船木麻里、撮影=行友重治)

人材と組織を生かすマッチング戦略とは

 基調講演には大阪大学大学院経済学研究科准教授の安田洋祐氏が登壇し、「人材・組織を生かすマッチング戦略」をテーマに、「現状の働き方改革の難しさの要因とその解決方法」「マッチング戦略を人事に応用することの効用」について語った。

 まず安田氏は、働き方改革がうまくいかない要因を、経済と組織内(マクロとミクロ)双方の視点で分析。「マクロ的には、バブル崩壊以降日本企業は格安で生産性の高い労働者を雇うことができたため、設備投資がおろそかになりました。結果として労働者の生産性が落ち、低賃金に留まるという負のスパイラルに陥ったのです。それでも平成の30年間で労働力が枯渇しなかったのは、非正規を中心とした安い労働力が次々に供給されていたためです」と、日本経済が陥った負のスパイラルのカラクリを説明した。

 しかし近年はこれが続かず、「賃上げや待遇改善をしなければ人が雇えない、という人手不足現象」が起きたと安田氏は指摘する。さらに氏は、働き方改革のカギとして設備投資の必要性を指摘。機械やハード面だけでなく、AIやIoTを本格的に導入する際に重要な「人への投資」も含め、広い意味での投資を進めていくべきだと力説した。

経済学者・大阪大学大学院経済学研究科准教授 安田洋祐氏。専門はゲーム理論。編著書に『学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ』(NTT出版)、共著書に『日本の難題をかたづけよう』(光文社新書)など。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」などにコメンテーターとして出演中。