印刷会社に連絡し、パネルの質感に近く、すぐに印刷できる紙がないか確認しました。幸い見つかったので、印刷されていなかった2名分のデータを探し、紙への印刷とパネルの刷り直しをお願いしました。

 印刷した紙を開催直前に会場のパネルに上から貼ることで事なきを得ました。正しいパネルが出来上がるまでの応急処置でした。

 もし修正が間に合わなければ、選書者に失礼なだけでなく来店した方も悲しませてしまう。そう思うとつらいものがありました。しかもその週は開催準備に追われていたこともあり常に寝不足状態でした。

 「今日で準備が終わる」と安堵しつつあった時にトラブルの処理に追われたことで精神面でも体力の面でも限界を迎えました。「これは死ぬ!」というのは大げさかもしれませんが当時の実感はまさにそうでした。

 トラブルの原因ははっきりしていました。印刷会社へ入稿した時、データの最終確認をしなかったのです。入稿前に印刷データに誤りがないか確認した方がいい、という考えは頭にありました。しかし、大丈夫だろうという甘い気持ちから確認作業を怠ったのです。

櫻田の学び・何事も自分事に

 櫻田さんはなぜ長期インターンを始めたのでしょうか。「社会人になる前に何か自身の力になる経験をしたい」という思いからでした。

 彼女が取り組んでいるPRの仕事は、クライアントの思いをくみ取り、メディアを通して世の中に届けること。今やっている仕事は、リサーチ、企画書の執筆、メディアへのアポ取り、提案と、新卒並みです。

 「やりがいはありますが、クライアントやメディアについて日々考えており、週末になってもなかなか気が抜けません」と話していました。

 『推し本CAFE』のプロジェクトを通し、仕事の泥臭さと厳しさを体験できたとのことです。開催会場の選定や経営者のリストアップと選書依頼、パネルや資料などの作成、これらはどちらかと言うと地味な仕事の積み重ねです。

 「最終確認を怠った失敗から、何事も自分事にしなければならないと痛感しました。誰かがやってくれるだろうと思うのは馬鹿野郎だということです」(櫻田さん)。

 それでも『推し本CAFE』プロジェクトには泥臭さと失敗を上回る喜びと学びがありました。

 「出した意見が企画やデザインに次々と反映されていく喜び。普段活用しているサービスを提供している著名なベンチャー経営者と共に仕事ができる喜び。私の発言や行動にその場でフィードバックをしてくださる上長や先輩からの学び」(櫻田さん)。

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 櫻田さんも長期インターンは非常に多くの学びを与えてくれたと話しています。「短期インターンでは、ここまで裁量権を持って仕事をすることはないでしょう。学生のうちにこの経験をするか否かによって、社会に出た時の働き方に大きく差が出てくると思います」。私、高橋も同意見です。

merriam-websterで“intern”を引くと“an advanced student or graduate usually in a professional field (such as medicine or teaching) gaining supervised practical experience (as in a hospital or classroom)”と出ていた。プロの現場で実務経験を積むことだから一定の期間が必要であり、数日間で終えるものをインターンと呼ぶのはおかしい。7年ほど前、経済産業省は「共育型インターンシップ」という名称で有給・長期インターンの推進策を打ち出していたが、そこで掲げられていた効果は高橋さんと櫻田さんの学びと同じであった。こうしたインターンに取り組む学生と企業は増えていくに違いない。(谷島宣之)

高橋 智香(たかはし・ともか) 早稲田大学政治経済学部 4年生
高橋 智香 大学では映像ジャーナリズムを専攻。2017年秋からIT系ベンチャーのマーケティング室に半年間勤務しSEOを経験。2018年春からネットメディア企業で半年間SEOに従事。2018年秋からネットメディア企業の編集部で記事執筆を手がける。スタートアップ創業期の取り組み事例をまとめたメディア「Launcheers」の運営にも関わる。

※筆者の会社名および役職は執筆当時のものです。