社員の約半数は東京の本社にいるので、各拠点はサテライトオフィスのような感じです。コンサルタントは常に外に飛び回ってモバイルワークをしています。自社でもクライアント企業においても生産性向上のカギは移動時間にあると考えています。通勤をなくす在宅勤務はもちろん、営業移動時間も短縮し、移動中にも仕事ができるようにすることが重要です。営業スタッフの1日の勤務時間のうちの3割を移動が占めますから。

高野:ANAの従業員の約8割は客室乗務員やパイロット、整備士などのフロントラインのスタッフで、残りの2割はデスクワークのスタッフです。弊社では、まずフロントラインのスタッフを対象にテレワークを導入しています。具体的にはモバイルワークの導入で、客室乗務員・パイロット・整備士・空港係員にiPadを支給。周知物や配布物をiPadで一斉に送り、各自が確認できるという仕組みを取り入れ、訓練・教育についてもiPadを使って実施するようにしました。

全日本空輸 人財戦略室 人事部 ANA's Way推進チーム 高野弘樹氏

 導入の際には、デスクワークスタッフへの対応に一番時間を要しました。まずはハード面をしっかり整備しようということで、仮想デスクトップや社内ポータルの刷新などを段階的に進めました。さらにテレワーク導入の目的を整理して周知しました。当初掲げたキーワードは「ワークライフバランスの推進」と「育児・介護」です。当初の反応は鈍かったのですが、「テレワークを使って社内の信頼関係を築こう」とアプローチするなかで、導入直後は10%に満たなかった利用率が70%にまで上がりました。

松村:パソナグループでは、場所を問わず生産性の高い働き方を「リンクワークスタイル」と名付け、テレワークをはじめとする様々な施策を推進しています。従業員の約半数が女性なので、特に女性が働きやすくなるための施策に力を入れています。その一つが多様な働き方の導入です。各部署の責任者に判断の権限を与えており、育児中で忙しい女性スタッフの定型業務を外部のフリーランスに委託するといったことも可能です。事業所内に保育所を設置するなど育児についてもサポートしています。自社事業の一つでもあるハウスキーピングサービスを社員が利用し、男性の育児休暇利用も促しています。

パソナグループ 常務執行役員 CBO BPO Advantage 松村卓司氏

 弊社では、リンクワークを「たとえ距離が離れていても、社員同士がつながって働く」というコンセプトで導入しています。テレワーク先進国の米国では、大手企業がテレワークを禁止する動きもあります。テレワークを導入したとしても、社員同士がコミュニケーションを密にして働くことの重要性は変わりません。育児や介護などによってフェイストゥーフェイスで仕事することが難しい場合に、便利なツールとしてテレワークを使う。テレワークをする場合は、なるべくコミュニケーションを最大化するのがポイントです。すべてをテレワークにすればよいわけではなく、バランスも大切です。

 テレワークが普及すれば、上司による部下の管理の仕方が大きく変わります。離ればなれで仕事をする機会が増えるため、社員一人ひとりのミッションに対する意識の明確化が生産性向上のカギとなります。弊社ではこのことを踏まえて、会社の理念や仕事に対する考え方、行動指針など「Pasona Way」を各セクションに浸透させる100名体制の部門横断型の組織を設置しています。