実際に前述の健康経営銘柄で見てみると、健康経営度調査を基にした健康経営に積極的な企業と、一般的なTOPIX指数を比べると、前者の方が5年間で30%程度の超過リターンがあることが分かりました。また、売上高営業利益率の観点では、同一企業で健康経営を開始する5年前と5年後とで業績相対スコア平均を比べると、5年前は-0.04だったのが開始2年後で+0.04とプラスに転じ、特に5年後には+0.1以上に跳ね上がっています。

 健康経営は離職率も下げます。全国平均の離職率は11.6%。これに対し、2017年度実績による健康経営度調査回答企業平均は4.6%、健康経営優良法人平均は3.8%、健康経営銘柄平均は2.7%となっています。

多方面で推進されつつある健康経営

 健康経営の推進は多方面に広がっています。2018年秋の日米財界人会議では、日米の財界で健康経営を押し進めていくことで合意しています。また、APECの金融フォーラム(APFF)では「健康経営拡大に向けた金融サービスの役割について」というテーマで合同会議を実施。今年のG20では健康経営に関するディスカッションを予定しています。

 東京商工会議所では、健康経営実施へのきっかけを作る人材を育成するための研修プログラムを設け、合格者には健康経営アドバイザーに認定しています。昨年度からはさらなる上級認定として、健康経営エキスパートアドバイザーを設けました。2018年には、健康経営アドバイザーとして1万2000人が、エキスパートアドバイザーとして223人が認定されました。また、日本商工会議所、協会けんぽ、地方の医師会と協力して、地方の健康経営推進も進めています。

 企業会計の面では、健康経営の経営指標の作成を予定しています。どんな形で健康経営に対する投資をして、どんな形でリターンが出ているかを分かりやすく分析できる管理会計基準を作ろうと進めています。

 このように、健康経営はここにきて急速な伸展を見せていますが、あくまでも実施主体は企業です。大企業、中小企業、地方企業ともに、積極的に健康経営に取り組んでいってほしいと願っています。