健康経営に取り組むうえで課題となる「費用対効果」「実行性」「継続性」。プロジェクトチームのリーダーとして先進的に取り組んできた担当者が、試行錯誤の中から獲得した「みんなで一緒に進める」という開かれた健康経営の新しいカタチを議論した。

 [この記事は「Human Capital 2019」(主催:日本経済新聞社 日経BP、2019年5月29~31日、東京国際フォーラム)での講演「働き方改革のカギを握る健康経営 その効果的な進め方とは?」をまとめたものです]
(モデレーター=経済産業省 商務・サービスグループ ヘルスケア産業課長 西川和見氏、構成=寺島 豊、写真=稲垣純也)

健康経営は全員参加型で

西川(以下、敬称略):前半はそれぞれの立場における健康経営の取り組みを紹介いただきたいと思います。

小島:丸井グループではサステナビリティ経営を重点テーマに掲げており、そのキーワードは「インクルージョン」(全従業員による参画)です。この言葉を聞かない日はないほどで、健康経営の取り組みでもキーワードになっています。健康経営というと、病気の人や不健康になるリスクの高い人が対象と捉えられがちですが、当グループでは全社員が対象、すなわちインクルーシブな健康経営により「全員が今よりイキイキすること」を目指しています。

 2016年に全社員5500人からの公募による健康経営のプロジェクトチームを結成し、活動を続けてきました。具体的なアクションとしては、「ストレッチ&バランスボール」「マインドフルネス講座」「補食コーナー設置」「ショップ対抗ウォークラリー」「職場での定期ジョギング」「瞑想」「階段昇り」などです。また、2018年に「日本健康マスター検定」の団体受験をスタートさせました。累計で1300人超が受験し1050人が合格しています。

 健康経営の取り組み主体が一般社員ですから、トップ層の理解を得ることは重要です。そこで、部長職以上を対象に1期1年間のレジリエンスプログラムを開設、これまでに対象者の85%が受講しました。

丸井グループ 執行役員 健康推進部 部長 小島玲子氏

 健康経営を推進するうえでのポイントを2つ挙げます。1つは「組織の特徴を生かす」ことです。他社のグッドプラクティスをそのまま取り入れるのではなく、企業風土に合った形で進めていくことが大切です。当グループにはブームを作ると乗りやすいという風土があり、意図的にあおって盛り上げるようにしました。

 もう1つは「健康をゴールにしない」。語弊があるかもしれませんが、健康であることを「錦の御旗」とせず、経営上どんなメリットがあるかを検証する姿勢を持つことが重要と考えています。