社員の情報をデータで可視化して活用するピープルアナリティクスは、次世代の人材マネジメントとして注目を浴びている。今回は「Digital HR Competition 2018」のファイナリストから3社が登壇し、大手企業のピープルアナリティクスにおけるリアルな実体験と、その試行錯誤の過程で得られた「モデル」を紹介した。

 [この記事は「Human Capital 2019」(主催:日本経済新聞社 日経BP、2019年5月29~31日、東京国際フォーラム )での講演「実践! HRテクノロジー学 ~大手企業の「リアル」と「モデル」~」をまとめたものです]
(構成=野澤 麿友子、写真=辺見真也)

Academia×Technology×Serviceが融合する「Digital HR Competition」とは?

 冒頭、モデレーターの林 幸弘氏より「Digital HR Competition 2018」の紹介があった。林氏が実行委員長を務めるDigital HR Competitionは、Academia(理論)とTechnology(技術)とService(実務)の垣根を越えて、「労働市場における社会課題の解決」をテーマにしたコンペティションだ。

 「昨今は様々なHRテクノロジーが増えてきています。一方で、企業がデータを活用して具体的な成果につなげるには、まだまだ大きな距離があると感じています。そこをどう埋めていくのか、会社を越えて事例の共有ができたら……というのがこの企画の出発点です」と林氏は語った。

Digital HR Competition実行委員長 林 幸弘氏
組織人事領域のコンサルタント。テクノロジーの力をいかにして実務の成果や人々の幸せにつなげられるか。「最適な処方箋」と「普遍的な法則性」のあり方を模索し、組織の垣根を越えたネットワークづくりを目指す。

 審査対象となる事例は『実際に使える・価値がある』ことを重視している。また、評価に際してはHRにありがちな特定の会社だけの個別解とならないよう『モデル化』にこだわり、学術界から審査員を招くなど、まさに技術と実務と学術を融合させる試みを行っている。

 さて本パネルディスカッションは2018年、記念すべき第1回「Digital HR Competition」のファイナリスト3社による登壇だ。

 ピープルアナリティクス部門に選出された山崎潤平氏・浅野健一郎氏は大手企業の人事としてデータ分析を行い、社内に革新を起こしてきた。対するHRソリューションテクノロジー部門に選出された山田裕一朗氏は大手企業向けにHRテクノロジーを導入提案してきた実績を持つ。変わりにくいといわれる大手企業で、彼らはどのように革新を起こしてきたのだろうか。