2019年7月30日、日経BP総研とビズリーチによる「人材・採用戦略」をテーマにしたセミナーの第3弾を開催した。会場はJPタワー名古屋ホール&カンファレンス。梅雨明けの酷暑にもかかわらず、会場には多くの参加者が集まった。セミナー前半は、元カルビー株式会社代表取締役会長兼CEOの松本晃氏による特別講演と、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授柳川範之氏による基調講演。後半は、日本生命保険相互会社人材開発部部長今井孝之氏をお招きして、採用戦略の先進企業によるパネルディスカッションが行われた。
(取材・文=浅井美江、撮影=森田直希)

会社の役割は、社員が成果を出せる環境と制度を整えること

 「Our Business is People Business ―もっと稼げ!― 」をテーマに登壇された元カルビー株式会社会長兼CEOの松本晃氏。東西冷戦の終結を境に世界情勢や人の生き方が大きく変化した現在、“Change , or Die!”(変革せよ、さもなくば死ね!)が必要だと語った。

 「会社を取り巻くあらゆる環境が変わった今、取り組むべきは古い仕組みと悪しき文化を変えること」とし、組織が陥りがちな悪しき文化“すなわち、規模を大きくし、権限を強化し、構成員の居心地を良くする”という組織の共同体化を挙げた。

 「そうならないためには、組織を徹底的に簡素化・透明化し、権限を委譲し、経営をシンプルにすること」と力を込めた。

元カルビー株式会社代表取締役会長兼CEO 松本晃氏
京都大学大学院修了後、1972年伊藤忠商事入社。1986年よりセンチュリーメディカルに出向。1993年より現・ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人に転じて、社長、最高顧問を歴任。2009年からカルビー会長 兼CEO。2018年6月よりRIZAPグループの経営に参画。2019年6月にラディクールジャパン株式会社を設立し、代表取締役会長CEOに就任。

 また、カルビーで実践してきた制度や働き方の改革について、具体的な例を挙げて解説。カルビーを離れる直前には、成果を出していれば出社しなくてもOKという働き方の制度を確立された。「要は“長きを以て貴しとなさない”。成果が時間に比例していた時代は終わりました」(松本氏)。

 そして「単なる人手不足はITの活用や規制緩和で解消できるが、“人材”はそうはいかない。会社は設備投資ではなく、もっと人への投資が必要」と強調。稼ぐことのできる優秀な人材を集め、強い組織をつくるために会社がやるべきことは「一人ひとりが成果を出せるように、働く環境や制度を整えること」と締めくくった。