2025年に労働人口の半分を占めるといわれるミレニアル世代は、幼少期よりデジタル機器に慣れ親しんだデジタルネイティブであり、仕事に望む価値観も多様化している。それでは、彼らに適した新しい人材マネジメントとは何だろうか。「ミレニアル世代」とくくることはそもそも正しいのか。海外のHRテック事情を熟知しており、HR先端領域で実務をリードする若手スピーカーが、新時代のHR&テクノロジーについて激論を交わした。

 [この記事は「Human Capital 2019」(主催:日本経済新聞社 日経BP、2019年5月29~31日、東京国際フォーラム )での講演「激論! 新時代の人材マネジメントとHR Technology ~ミレニアル世代からの提言~」をまとめたものです]
(構成=野澤麿友子、写真=辺見真也)

デジタルネイティブな「ミレニアル世代」に最適なマネジメントとは

 モデレーターを務める土橋氏を含めた4人は、2018年、米国ラスベガスで開催された世界最大のHRカンファレンス(HR Technology Conference)で出会った。現地で意気投合した彼らは、日々仕事で携わるピープルアナリティクスやHRテックに関する知識や思いを多くの人と共有したいと今回のパネルに臨んだ。

 登壇するメンバーは親しい間柄とはいえ、HRに対する考え方が同じ方向を向いているわけではない。森 謙吾氏・石原史章氏はHRテクノロジーのサービスを提供するベンダー側の立場、丸吉香織氏は事業会社の中でピープルアナリティクスを扱う人事の立場と、立場や見解も若干異なっている。

 始めにミレニアル世代向けマネジメントサービスを提供する森氏より、ミレニアル世代についての紹介があった。

 「ミレニアル世代の特徴はいくつかありますが、他の世代と大きく異なるのは、彼らが早い段階からスマホやPCに慣れ親しんだ『デジタルネイティブ世代』であることです。とりわけ近年はSNSなどの発展により、ユーザビリティの高いtoC向けのサービスに触れているため、会社のシステムにも同様に高い操作性やデザイン性を求める傾向にあります」(森氏)

ピアリー株式会社 代表取締役 森 謙吾氏
PwCコンサルティング合同会社に入社後、人事コンサルティング領域に従事。大手企業に対する人材マネジメント戦略策定および人事制度構築、役員報酬設計、残業削減・退職率低下などのプロジェクトに参画した後、ピアリー株式会社を創業。急成長スタートアップにおける従業員のエンゲージメント・心理的安全性を高めるコンサルティングおよびHRテックサービスの導入事業を行う。

 さらに森氏によれば、ミレニアル世代は仕事において4つの観点を重視する傾向がある。それがPwCの定義するEmployee Experienceを高めるための観点(透明性、個別性、即時性、価値志向性)だ。透明性とは、評価基準や会社のルールが分かりやすいこと。個別性とは、画一的なマネジメントではなく個々人の価値観を理解してくれること。即時性とは、褒められる・フィードバックされるなどのアクションがすぐに返ってくること。価値志向性は、自己成長したいという意欲に応える環境があることを指す。

 だからこそマネジメントのあり方も、従来のような半年や1年単位の評価を前提としたマネジメントではなく、こうした4つの価値観を満たす個人に寄り添ったマネジメントが必要だと主張する。昨今、OKR、ノーレイティング、1on1などの必要性が高まっているのもこのためだと言えるだろう。