内定後も密なコミュニケーションを

村尾:内定を断る理由として、他にはこんな話も聞きました。会社説明会では、採用チームの若手社員が生き生きと話していて、とても楽しかった。でも、後日会社訪問をしたら、社員が誰も笑顔ではなく、楽しそうに働いていなかった、と。

 すごく基本的なことですが、なぜ「今日は学生たちが来るよ」と社員たちに伝えておかなかったのか……。ある意味、本来の姿を見せられて良かったのかもしれないけれど、新しい仲間が来ることを社内で共有しないとダメでしょう。

伊藤:本当にその通りですね。就職活動は今マニュアル化されているので、トイレはきれいだったかとか、学生は大学側から見るポイントを伝えられています。企業はそのポイントを押さえておかなければ、対策をしても空振りになってしまいます。

村尾:最近の大学はきれいですから、古い社屋にギャップを感じる学生は多いようです。トイレが男女共用なんて言語道断ですし、ライトだけでも温かくしてほしいです。

 トイレと同じくらい大事なのがランチの時間です。性別、世代にかかわらず、社員たちが楽しそうにご飯を食べているか。会社のカルチャーが出る部分です。

 ホームページや採用時のメッセージでは、みんな「社員をファミリーと考えます」とか「一人ひとりを大事にします」と言うのですが、それと実際の会社の姿に矛盾点があると、内定辞退につながります。

伊藤:内定が決まってからのコミュニケーションも大事でしょうね。学生たちは卒業論文や卒業旅行で忙しい。会社は次年度の採用に入り、内定した学生を放置してしまう。10月1日に内定式をして、次は12月の忘年会に呼ぶ程度でしょう。

 でも、もっとこの期間に、会社や業界のことを知ってもらうことができるはずです。学生と社会人の違いを埋める時間に使うことで、学生をつなぎとめておくことができます。

村尾:多くの場合、内定後のコミュニケーションは薄いと感じますね。内定期間中でも、少しでも自分の会社を好きになってもらえるよう努力をしなくてはなりません。できれば1対1で学生に担当者がついて、LINEなどでいつでもコミュニケーションがとれるようにしておくと、内定辞退率は下がるでしょう。

伊藤:昔と違って、内定承諾書を書いてからも辞退があり得る。つまり、採用活動のゴールは内定ではなく、4月1日の正式入社です。内定後も面白そうな会社が見つかったらそちらに行ってしまいますから、昔以上に密なコミュニケーションが大切になりますね。